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ベテラン
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ベテラン 2025年4月現在、続編が公開中のシリーズ第1作(2015年)。名優、ファン・ジョンミンが財閥の横暴にひるまず闘う刑事ソ・ドチョルを演じ、ここまでやるかという感じのアクションを見せてくれる。 開巻、少しコメディ要素が強すぎて、心配したけれど、「悪」はもう徹底的に「悪」、相対する刑事たちも真っすぐな「善」という韓国映画らしいド直球なメリハリを利かせた映画であきさせない。特に、韓国と言えば、あのナッツ姫事件に象徴される少数財閥支配による超格差社会で、それを真っ向から批判するメジャーでの製作は厳しく、それをかいくぐるために、コメディを装って作ったのではないか。なかなかの知恵者だと思う。また、それができるのも、財閥批判は客受けが狙えるからだと思う(昨今の政治映画だって、韓国では大ヒットするのだから)。その意味で財閥のバカ御曹司チョを演じたユ・アインのサディスティックな悪ぶりは最高で、悪ければ悪いほど、エンタメ度は上がっていく。とりわけ、上流階級でありながら、格闘技マニアで、経済的にも肉体的も強者であるというのがいい。一方で、ソ刑事は、正義感は人一倍強いものの、恐妻に悩まされ、心身ともに傷だらけである中年男の疲れを感じされるのがまたいい。加えて、チョの尻拭いをさせられる従兄のチェ常務、刑事側ではチーム長、その両方の脇役のキャラ立ち、好演もなかなかのもの。 そして、クライマックスは、悪の権化のチョとソ刑事の激突。手始めのカーチェイスの映像技術はハリウッドレベルの超過激で、特に、行き止まりにもかかわらず、アクセルを踏みっぱなしのチョの形相がまさに狂っていて最高(途中で、マ・ドンソクがカメオ出演しているのは驚いた)。そして、一対一の対決は、韓国映画らしい痛さ十分のバトルまで用意されている。 このように、財閥による格差・不平等社会への批判といった社会性を持ちながら、コメディでコーティングして圧力をかわし、しかもエンタメ性も忘れてはいない。こんな映画作りができる韓国映画の懐の深さ、したたかさを思う。公開中の続編も見たくなった。
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