北欧ホラーっぽい怪しさ

題名は「飲み込む」という意味。
異食症のホラー要素という本作最大の売りはあまり本筋とは関係がなかった。しかし次々と飲み込まれる異物に、このままどういう決着をするんだろうと興味津々ではあった。

要は抑圧された生活から解放される為に、自らが取った行動の一つ。自己主張の結末は薬を呑んで堕胎。これが本人にとっては一番の快感だったのだろう。色彩が鮮やかな部屋の内装も庭の花も、彼女の空虚な心情との対比であるかのよう。

自己顕示欲が強い旦那と義父母。すぐに秘密をばらすカウンセラー。全く監視役になっていない看護師。とどめはヒロインがじゃまで捨てててしまった実母。結局、一番罪悪だった実父が最もまともだったというオチ。

主人公以外誰にも感情移入できなかった佳作。