画商ポルビュス(ジル・アルボナ)は彼の旧友でかつての恋仇だったフレンフォーフェル(ミシェル・ピッコリ)の邸宅に新進画家ニコラ(ダヴィッド・ブルツタイン)とその恋人マリアンヌ(エマニュエル・ベアール)を招待した。フレンフォーフェルは10年ほど前、妻のリズ(ジェーン・バーキン)をモデルに描いた自らの最も野心的な未完の傑作「美しき諍い女」を中断して以来、絵を描いていなかった。「美しき諍い女」とは17世紀に天外な人生を送った高級娼婦カトリーヌ・レスコーのことで、フレンフォーフェルは彼女のことを本で読み、彼女を描こうと試みたのであった。ポルビュスの計らいでニコラとマリアンヌに出会ったフレンフォーフェルは、マリアンヌをモデルにその最高傑作を完成させる意欲を奮い起こした。最初はモデルになることを嫌がったマリアンヌは、ニコラの薦めもあって5日間で完成させることを条件にしぶしぶ了承する。だがフレンフォーフェルの要求は彼女の考える以上に苛酷なもので、肉体を過度に酷使する様々なポーズを要求され、さらには彼女の内面の感情そのものをさらけ出すことを求められる。だが、フレンフォーフェルは描き続けるうちに自信をなくしはじめ、逆にマリアンヌが挑発して描かせるようにもなっていく。画家とモデル、2人の緊張関係は妻のリズやニコラを含めた2組のカップル全体に微妙な緊張をもたらし、ニコラのもとにやって来た妹ジュリアンヌ(マリアンヌ・ドニクール)も加わりさらに拍車がかかる。やがて長い闘いの果てにフレンフォーフェルはついに絵を完成させるが、誰の目にも触れさせないように壁の中に埋め込んでしまい、代わりの絵を一気に描き上げた。真の「美しき諍い女」を見たのはフレンフォーフェル以外には、アトリエを覗いたリズだけであった。次の日、代わりの「美しき諍い女」のお披露目が行われた。緊張感も和らぎ、2組のカップルにポルビュス、ジュリアンヌも加わり祝いのワインが開けられた。それぞれの思いを永遠に胸に秘めながら…… 。