約一五〇〇人の乗客を乗せたひかり一〇九号、博多行は九時四十八分に定刻どうり東京駅十九番ホームを発車した。列車が相模原付近にさしかかった頃、国鉄本社公安本部に一〇九号に爆弾を仕掛けたという電話が入った。特殊装置を施したこの爆弾はスピードが80キロ以下に減速されると自動的に爆発するというのだ。さらに、この犯人は、このことを立証するために札幌近郊の貨物列車を爆破する。これらの完璧な爆破計画は、不況で倒産した精密機械工場の元経営者・沖田哲男、工員の大城浩、そして元過激派の闘士・古賀勝によるものであった。そして沖田は500万ドルを国鉄本社に要求した。運転指令長の倉持は、運転士の青木に事件発生を連絡するとともに警察庁の須永刑事部長、公安本部長の宮下を招集、対策本部を設定した。やがて国鉄側が沖田の要求に応じたために、大城が500万ドルを受け取りに向ったが、パトカーの執拗な追跡に事故死してしまった。仲間を失った沖田は単身、捜査本部と虚々実々の掛け引きを展開し、沖田は巧妙な手口を駆使してついに500万ドルを手に入れた。しかし古賀は、貨物爆破の現場に残したタバコから身許が割れ、沖田を逃すために自爆した。沖田は、捜査本部に爆弾除却方法を記した図面が喫茶店サンプラザのレジにあることを知らせ、変装、偽名を使って海外旅行団の一員として羽田に向った。ところが、その喫茶店が火事になって、図面が焼失してしまったのだ。捜査本部はTVで必死に沖田に呼びかけたが、反応はなかった。緊迫した捜査本部に、制限速度ぎりぎりで走る一〇九号を外から撮影したフィルムが届けられた。そのフィルムから爆弾装置の箇所が判明された。早速、爆弾の仕掛けられた位置の床を焼き切るために一〇九号と並行して別の新幹線を走らせ、酸素ボンベと溶接器を運び入れ、見事、爆弾除去に成功した。一方、沖田は羽田国際空港で張り込む刑事たちの目を逃れて搭乗しようとしたが、刑事たちが連れて来ていた息子の賢一が沖田に声をかけたために見破られてしまった。沖田は必死に逃走するが、追って来た刑事たちに射殺された。