草深い信州の農村。ある夏、川の氾濫で畑を駄目にした篠崎の娘シノはホップの栽培とニジマスの養殖を計画しその資金を彼女に気のある村長の息子源治から借りたが、その代償に彼女は彼に身をまかせた。シノに惚れていた小山田英助は現場を見つけて、村中に言いふらしたが、彼女は平気だった。彼女は仕事が波に乗った一年後、村会議員に当選した源治に心中をせまられた。彼はシノの気持をためしたかったのだ。彼女はその時ふとその気になって彼に従った。源治は死んだが、シノは二人の後をつけた英助に助けられる。英助はシノを犯した。これは“白昼の通り魔”になる英助の第一歩であった。源治は事故死として葬られたが、恋愛は美しい無償の行為だとシノたちに教えた中学教師倉マツ子は事故死とすることに反対した。その夜彼女は同じ反発を抱く英助と結ばれた。シノは村中の非難をあび村を出た。一年過ぎた。神戸で女中として働いていたシノは突然英助の訪問を受けた。そして再び失神させられ犯された。その上彼は抵抗した女主人を殺した。シノは彼を噂の“白昼の通り魔”と確信したが、警察の取調べに対し、犯人が旧知の英助であることは黙っていた。そして今は英助の妻になっているマツ子に相談してからと考えて手紙を書いた。数週間後マツ子は修学旅行で大阪へ来た。シノは会って相談したが、苦悩するマツ子の言葉はあいまいであった。東京へ走る列車が浜名湖を通過した時マツ子は意を決して、尾行してきた原口刑事に英助の写真を渡した。だが既に英助は逮捕されていた。裁判で彼は最初にシノを犯したのが犯罪のきっかけだと言った。打ちのめされて生徒と別れたマツ子と一緒にシノは信州へ帰った。村が見えた時急にマツ子はシノに心中してくれと言った。シノはまたも一人だけ生き残った。そして先生の死体を背に山道を下っていった。