播州赤穂城主浅野内匠頭は、高家筆頭吉良上野介から受けた恥辱にたえかねて殿中刃傷に及んだが、加古川本蔵にさえぎられて吉良を討損じた。お家断絶、内匠頭は切腹。家老大石内蔵助は、無事に城を明渡し、家臣を離散させた。だが、その胸中には、主君の無念を晴らすべく、固い誓いが数十人の連判状と共に秘められているのだった。その時、内匠頭の近習早野勘平は、事件の当日腰元おかると恋に耽り、大事な場に居合わさなかったため、申し訳のため自刃しようとしたが、おかるに止められ彼女の里山崎の在所に落ちた。そして、仇討の連判に加わりたさに、御用の金子をととのえようと撃殺した人の懐から盗んだ五十両--その金こそ、女房おかるが祇園に身を売ってこしらえたのだが、てっきり舅の与市兵衛を殺してしまったものと思い込んだ勘平は切腹してしまった。実は、勘平の鉄砲で死んだのは盗賊となり果て与市兵衛を殺した赤穂の旧家臣斧定九郎だったのだ。--一方、内蔵助は吉良方の眼をあざむくために茶屋遊びにうつつを抜かした。遊女となったおかるは、ある日連判状の秘密を知ったことから、彼女の兄から刺されようとしたが、その誠心を内蔵助に認められ、亡夫勘平に代って密偵を刺し仇の一人を討った。内蔵助の嫡子主税と加古川本蔵の娘小浪とは相愛の許婚であったが、その縁組も内匠頭の無念に破局に直面していた。ある日、主税を慕う娘のあわれさに母の戸無瀬は、山科の閑居に内蔵助を訪れた。だが、内蔵助の妻おりくは、夫の立場と目的を理解する故に、この母娘に冷めたかった。しかし、折しも訪れた本蔵が自らの腹をかき切って罪を償い、嫁の引出物として吉良邸の絵図面を主税に手渡して息絶えたことにより、二人は固く結ばれた。--愈々機熟し内蔵助を始め同志は続々と江戸へ下って行った。そして、途中数々の障害を乗り越えて、ついに吉良邸討入に成功した四十七人の赤穂浪士。そして、見事上野介の首級を挙げることが出来た。