1968年、ミシガン州デトロイトの場末のバーで、ロドリゲスという男が歌っていた。その姿が大物プロデューサーの目にとまり、満を持してデビューアルバム『Cold Fact』をリリースする。しかし将来を渇望されるも、2枚目のアルバムも含めて商業的には大失敗に終わる。多くのミュージシャン同様、ロドリゲスも誰の記憶にも残らず、跡形もなく消え去った。しかし運命に導かれるように海を越えた音源は、反アパルトヘイトへの機運が盛り上がる南アフリカの地へ渡る。ロドリゲスの音楽は体制を変えようとする若者たちの胸に突き刺さり、革命のシンボルとなった。その後、南アフリカでは、20年に渡って幅広い世代に支持され続け、ローリング・ストーンズやボブ・ディランより有名なアルバムとなる。しかし、ロドリゲスがその後どうなったのかを、誰も知らなかった。残されたのは、失意のうちにステージで自殺したという都市伝説だけ。アメリカで無視されたロドリゲスの音楽は、なぜ同時代の南アフリカで熱狂的に受け入れられたのか? ロドリゲスはどこへ行ってしまったのか? 南アフリカの熱狂的ファンがロドリゲスの運命を探る調査を始めると、そこには驚くべき真実があった……。