戦争末期。時代に絶望し虚無に苛まれる飲んだくれの作家(永瀬正敏)は、自分の欲望に忠実な飲み屋の女将(江口のりこ)と刹那的に同棲を始める。だが、幼い頃に遊郭に売られたその女はどんなに体を重ねても喜びを感じることはなかった。心と体に欠落を抱えた二人は、「戦争が終わるまでやりまくろうか」とただひたすらに相手の体を求め続ける……。そんな中、中国戦線で右腕を失った男(村上淳)が、妻と幼い息子に迎えられ帰ってくる。しかし男が失ったのは、腕だけではなかった。戦場での精神的後遺症から、男は妻と性行為ができなくなっていた。だがある日、焼け跡で数人の男に襲われている女を見つけ、自分が興奮していることに男は気付く。中国で女を犯し、殺した記憶が甦ったのだ。その日から男は「お米が手に入るよ」と言っては何人もの女を山奥に連れ込み、犯し、殺し始める。やがて戦争に翻弄される一人の女と二人の男の運命が交錯していく……。