誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<10月リリース作品>

 

 

存在感ありすぎる漢たちの競演

『虎狼の群れ』

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コンセプトフィルム/オールイン エンタテインメントより9月25日リリース

 (C)2017コンセプトフィルム

 【STORY】                                    日本海に浮かぶ小さな島、火浦島。加倉刑事は自らの手を汚しても島を守ろうとしていたが、かつて刑務所に送った幼馴染みである元花房一家の若頭、戸塚が出所したことから、関西の勢力も巻き込んだ抗争が島で勃発して…。

 【オススメCOMMENT】                                                                  完成度が高く、隙のない重厚な作りに思わず引き込まれる。主演は菅田俊。挙げれば切りがないほどの作品に出演するいぶし銀の役者をはじめ、泣く子も黙る勢いの男優陣が顔を揃え、バチバチと熱い火花を散らす。そんな男要素が充満する中にひと際目立つのが、本田なお(今後の活躍に期待)演じる女子高生。彼女のまなざしは、男たちの争いの不毛さを冴え冴えと見透かすよう。義理人情の世界に懐かしさとシンパシーを感じる、韓国の犯罪映画が好きな方なら、存分に堪能できる骨太な作品。

誰しもに勇気を与える感動の実話

『こころに剣士を』

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TCエンタテインメントより10月4日よりリリース

 

(C) 2015 MAKING MOVIES/KICK FILM GmbH/ALLFILM

【STORY】 

1950年代初頭のエストニアを舞台に元フェンシング選手と子供たちの絆を描く。秘密警察に追われるエンデルは、田舎町・ハープサルに体育教師として身を隠す。そして子供たちにフェンシングを教えることになるが…。

【オススメCOMMENT】

体育教師として田舎町で身を隠すエンデルは、子供たちにフェンシングを教えることに。ソ連の圧政により親を奪われていた子供たちと、自身も追われる身である彼が、不器用ながらも徐々に心を通わせていく。そして、捕まるリスクを恐れながらも子ども達を全国大会に連れて行くことを決めたエンデルと、強豪校相手に果敢に挑んでいく子供たち。自身が強いられた運命と戦いながら人生を切り開こうとする彼らの姿に涙が止まりません。誰しもに勇気を与えてくれる、珠玉の一本です。

 

ドイツ版・かすかべ防衛隊参上!

『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』

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エデン、ポニーキャニオン、東急レクリエーション、パイオニア映画シネマデスク/ポニーキャニオンより10月4日リリース

(C)Veit Helmer Film-produktion

 

【STORY】                                     『ツバル』のファイト・ヘルマー監督によるキッズムービー。大好きなおじいちゃんとおばあちゃんを老人ホームから救い出すため、幼稚園を脱走したリーケら6人の4歳児と1匹のアカハナグマ。彼らの奇想天外な作戦の数々に村の大人たちは大騒ぎし…。

 

【オススメCOMMENT】                               「普通なんてつまらない!」と思いながら暮らすちびっこ6人組。彼らは、突然老人ホームに連れて行かれた大好きなおじいちゃんとおばあちゃんを救うため、奇想天外な救出作戦を開始。例えるなら、“ドイツ版・かすかべ防衛隊”です。貯水タンクに睡眠薬をいれて町中の大人を眠らせたり、クレーンや汽車を乗り回したり…。とにかく幼稚園児とは思えぬ発想力と大胆さを発揮! そのわんぱくさに、元気をもらえること間違いなしです! それにしても、あの秘密基地は危険すぎる!(笑)

 

 

顔面の哀愁と説得力

『潜入者

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クロックワークス/松竹より10月4日リリース

 

(C)2016 Infiltrator Films Limited

 

【STORY】                                     1980年代。史上最大の犯罪帝国を築いていたコロンビアの麻薬王エスコバルの息の根を止めるため、米政府は大規模な潜入捜査を計画。それは、捜査官ロバート・メイザーを架空の富豪に仕立て上げるというものだった。

 

【オススメCOMMENT】                               これが実話という点ですでに驚き。大富豪のボブと化し、組織と仲間になっていく捜査官のロバートを演じるのは、『ブレイキング・バッド』でせっせと麻薬製造していたブライアン・クランストン(顔面の説得力)。段々明らかになる銀行家絡みの悪事や、強固な絆で結ばれたその協力者たち(意外と人情深い)。途中何度も素性がバレかけたり、超近距離で殺し合いがあったりと、事態は常に緊張の連続。捜査中、ボブの婚約者に扮するダイアン・クルーガーがスマートで可愛くて救いだった。

 

 

極北の地で出口を求めた男と女

『ホワイト・ラバーズ』

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ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより10月4日リリース

(C) 2016 Max Films (TLB) Inc., Two Lovers And A Bear Ontario Inc. and 9202447 Canada Inc.  All Rights Reserved.

【STORY】                                     北極圏の小さな町で互いの傷を埋めるように求めあう、過去から逃れて町に流れ着いた男と、この町での忌まわしい記憶に捕らわれた女。相手なしでは生きていけないと悟ったふたりは、誰もいない白銀の世界へ逃避行に出るが…。

 

【オススメCOMMENT】                               愛される理由を相手に求めない宿命的な関係が、切なく物悲しい。心の傷を相手によって埋めていた男の、彼女を失いかけた時の崩れ落ちていく様を演じたデイン・デハーンが良い。彼が演じる男が夜中に外で遊ぶ子どもたちに、寒いからと家に招き入れ、その後、彼女が来るからと寝ていた子どもを追い出す。ちょっとしたシーンだが、男の優しさと身勝手さを感じるところが印象深い。ふたりの逃避行から現実の境界が曖昧になっていくが、本作が『魔女と呼ばれた少女』の監督だと知ると納得。

 

 

殺し屋と俳優の人生交換

『LUCK-KEY/ラッキー』

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クロックワークスより10月4日リリース

 

COPYRIGHT (C) 2016 SHOWBOX AND YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED.

 

【STORY】                                     「成功率100%の殺し屋」として知られる伝説の男・ヒョンウクは、銭湯で石鹸を踏み転倒、頭を強打して記憶喪失になってしまう。さらにその場に居合わせた貧乏役者のジェソンが、彼のロッカーの鍵をすり替えてしまう。

 

【オススメCOMMENT】                               金欲しさで人生をすり替えたら、何とそれは殺し屋の人生だった。自宅の隠れ部屋に慄き、依頼人からの着信音に震える若者。かたや殺し屋は自分が何者かわからず、役者として全力投球。ユ・ヘジン演じる男が(本当は殺し屋)、自身の秘めた身体能力に驚きながらスタントをこなす姿がいじらしく、キラースマイルをふりまく様には可笑しみが溢れていていい。原案は『鍵泥棒のメソッド』だが、日本版を未見でも十分楽しめる快作。韓国で引っ張りだこの俳優ユ・ヘジンの愛らしい風貌に注目。

■前回の誰シネ(9月リリースタイトル)はこちらから

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