誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<11月リリース作品>

 

クレイジー漁師による強請り

『エクストーション』

 

 インターフィルムより11月2日リリース

 

 (C)2016 DEL REY PRODUCTIONS, LLC. All rights reserved

【STORY】                                     旅行でカリブのリゾートにやってきたケビンは、妻と幼い息子と無人島に渡るが、エンジントラブルで船が動かなくなり立ち往生しまう。衰弱していく中、偶然通りかかった地元の漁師に発見されるが、大金を要求され…。

 【オススメCOMMENT】                                                                  「金がものを言う世界」という冒頭のセリフがすべて。家族を救うため莫大な金が必要となり、ヤバイ漁師にとことん搾取されまくる父親像が涙ぐましい。残酷にも家族と引き離されると、父は執念で家族の居場所を探し、『24』も顔負けのハラハラの連続で最後まで疾走。『キャプテン・フィリップス』で海賊を演じ、アカデミー賞助演男優にノミネートされたバーカッド・アブディ演じる漁師の慈悲無き強請り方には驚愕し、彼に隠された弱みを主人公が握りつぶす瞬間は雄叫びものです。 


 

祖父の想いを繋ぐ1本の樹

『オリーブの樹は呼んでいる』

 

 

アット エンタテインメントより11月2日リリース

 

(C) Morena Films SL-Match Factory Productions-El Olivo La Película A.I.E

【STORY】                                     気が強い女の子・アルマは、幼い頃から祖父とだけは深い絆で結ばれていた。しかし、先代から守ってきた樹齢二千年のオリーブの樹が売りに出されてしまったことが元で、祖父は何年も前に喋ることを止めてしまっていて…。

【オススメCOMMENT】

大好きな祖父がずっと大切に守ってきた樹齢2000年のオリーブの樹。それを売ってしまった父をずっと許せないでいる孫娘のアルマは、その樹がドイツ企業のロビーに飾られていることを知り、樹を取り戻す旅に出る。スペインの田舎娘が、異国の大都会めがけて猪突猛進! 色んな人を巻き込みまくる無茶な行動に、「本当に大丈夫かよ!」とこっちまでハラハラしますが、アルマのそのまっすぐさと勇敢さには拍手。そしてそんな彼女と祖父の深い絆に、涙せずにはいられませんでした。

 

蜘蛛責めにされる美女

『ラプチャー -破裂-』

 

 

ギャガより11月2日リリース

 

(C)2016 Rupture CAL, Inc.

 

【STORY】                                     蜘蛛が嫌いなシングルマザーのレネーは、突如見知らぬ男たちに拉致され、謎の隔離施設で目を覚ます。そこで彼女を待っていたのは、「生きている中で一番嫌いな物」を、執拗なまでに与え続ける驚愕の人体実験だった。 

 

【オススメCOMMENT】                               自分だったら何を与えられるか、は恐ろしすぎて考えないようにしても、つい覗きたくなってしまうこの容赦なきSM 世界。各部屋で行われている、奇妙と恐怖が入り混じった“ トラウマ” による人体実験は何のためか、そして自分は何故ここに連れてこられたのか…。蜘蛛責めにされ続けた後に見えてくる、衝撃すぎる真実にさらに悶絶しつつ、今までの監禁ものとは違う主人公の解放地点にフェミニズムまで感じてしまった…。ノオミ・ラパス姉さんには、レザーだけでなく拘束具も似合う。

 

 

松井玲奈が男前すぎてシビレる

『映画「笑う招き猫」』

 

 

キングレコードより11月8日リリース

 

(C)山本幸久/集英社・「笑う招き猫」製作委員会

 

【STORY】                                     出会ってから7 年、コンビ組んで5 年の女漫才師、アカコとヒトミ。武道館で単独ライブを開くことが夢のふたりは、衝突しながらも唯一無二の相方として活動を続けていたが、ある転機が訪れたことで歯車が狂い出す…。

 

【オススメCOMMENT】                               松井玲奈がカッコよすぎる。アイドルだった頃の彼女の姿を、本作のアカコから想像するのは難しいが、その頂点に君臨していたひとりであったことは、はっきりと感じられる。凄まじく魅力的な表現者がいるぞと。もう一方の主役である清水富美加もまた、今後が楽しみだった逸材。このふたりの雨の中の火花散るせめぎ合いは、ちょっとほかにはない。単純に感情を爆発させる役者はいくらでもいるが、それを“見せられるレベル”で演技するふたりに引き込まれます。続きが観たかったが…。

 

 

稀にみる鬼畜な悪役に拍手喝采

『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝』

 

ツインより11月8日リリース

(C)2016 Universe Entertainment Limited. All Rights Reserved.

【STORY】                                     1914 年、内戦が続く中国。ヨン団長率いる自警団に守られてきた小さな村に、悪名高い軍閥の勢力が迫っていた。そこに軍閥の将軍の息子に追われてきた教師と教え子たち、各地の避難民、流れ者の男が集まってきて…。

【オススメCOMMENT】                               この類の作品では、悪役の魅力が重要だったりするが、その意味で本作は、過剰なまでに魅力的すぎる悪役がいて憎い。劇中のあまりの鬼畜ぶりに、何度歯を食いしばって「マジで早くいなくなってくれないかな」と願ったことか。 “正統派二枚目俳優” のルイス・クーだから尚更憎い。圧倒的な弱者をいじめて心の底から嬉しそうな彼が、どんな最期を遂げるのか。答えは、この作品があの『七人の侍』にオマージュを捧げたところから想像がつくのだが、なかなか良かったと納得しました。

 

 

思わず、「恋っていいなぁ」って。

『真白の恋』 

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VAPより11月8日リリース

 

(C)sagan pictures

【STORY】                                     軽度の知的障害があるものの日常生活に支障はなく、父の営む自転車店で働きながら富山で家族と暮らしていた渋谷真白。ある日、兄の結婚式のために訪れた神社で、東京から来たフリーカメラマン・油井と出会い…。

 

【オススメCOMMENT】                               軽度の知的障害をもつ真白は、家族と平穏に暮らしている。そんな中突然訪れた、初めての恋。東京からやってきた彼は、富山の小さな町しか知らなかった彼女に、どれだけ素敵な世界を見せてくれただろう。また会いたいと想う気持ちも恋の痛みも、すべてが初めてで戸惑う真白。そこに彼女を心配する家族の想いまでぶつかってきて、さらに混乱してしまうが、初めての恋はちゃんと彼女を強くしてくれた。そんな真白の姿に、思わず「恋っていいなぁ」なんてベタな台詞を呟いてしまいました。

 

■前回の誰シネ(10月リリースタイトル)はこちらから

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