誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<12月リリース作品>

 

春になったら公園に行こう!

『PARKS パークス』

 

 日活/ポニーキャニオンより11月15日リリース

 

 (C)2017本田プロモーションBAUS

【STORY】                                     井の頭公園の傍のアパートに住む大学生の純は、恋人とは破局、大学から留年通知が届きうまくいかない日々。そんなある日、ハルという高校生が突然やって来て、亡くなった父の昔の恋人が純の住む場所に暮らしていたと告げる。

 【オススメCOMMENT】                                                                  舞台は井の頭公園と吉祥寺。開園100 周年を記念して製作された本作は、実際に行ってみたくなるような場所が随所に登場して楽しい。また、脚本段階から作品作りに参加したという、音楽家トクマルシューゴ監修の楽曲の数々も作品に軽やかな色を添える。これらの風景と音楽が紡ぐ物語は、過去と現在、さらには未来さえも自在に交錯することで、独特の浮遊感、非現実感が漂う。まるで穏やかな昼下がりに見る白昼夢のように、ディテールではなく、“楽しかったはずの何か”が心に残る作品。 


 

学生の時に見ていれば…!

『すばらしき映画音楽たち』 

 

アンプラグド/キングレコードより11月22日リリース

 

(C) 2017 Epicleff Media. All Rights Reserved.

【STORY】                                     映画音楽創作の秘密に迫るドキュメンタリー。『スター・ウォーズ』、『007』などハリウッド映画の大ヒット作を彩ってきた名曲を手掛けた作曲家や監督への取材を通し、映画音楽の果たす役割が立体的に浮かび上がる。

【オススメCOMMENT】

映画の曲が記憶に残って、自然と口ずさむ時がある。また、『ロッキー』や『スター・ウォーズ』など、曲が流れるだけで作品がピンとくる人も多いはず。なんと映画音楽は、サイレント映画の時代に、劇場で映写機の音を消すために劇場でオルガンを弾いたことが始まりらしい。そんな、映画音楽の歴史からクリエイターたちの想いまでを余すことなく捉えた本作。音の細部にこだわって作り上げる彼らの熱量には感服です。こんなカッコいい大人たちの映画、学生の時に観ておきたかった(涙)。

 

俺の娘は本当に魔女なのか

『ウィッチ』

 

インターフィルム/ハピネット(ピーエム)より12月2日リリース 

 

(C)2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

 

【STORY】                                     1630 年ニューイングランド。父・ウィリアムと母・キャサリンは、5 人の子供たちと共に敬虔なキリスト教生活を送るため、森の近くの荒れ地にやって来た。しかし、赤子のサムが何者かに連れ去られ行方不明になる。 

 

【オススメCOMMENT】                               家族しかいない集落の中で、少女が抗いようのない邪悪に目覚めていく様を綴ったハイセンス魔女ホラー。神への絶対的信仰がありながら、彼女の周辺で不幸が起こると、「もしかしたら娘は…」の疑惑に家族が取りつかれていく悲劇でもある。悪魔が姿を変えているというヤギ、ぎょっとする“それ” の姿、むやみに見せないことで恐怖に陥れるその手法と音使いには脱帽。そして少女の成長に伴った家族の犠牲…が、実は一番ホラーだったりする。それにしても、アニヤの顔は実にゴシック向き。

 

 

社内では仲良くしようぜ!

『サラリーマン・バトル・ロワイアル』

 

 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより12月2日リリース

 

(C)2017 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved.

 

【STORY】                                     コロンビアにある非営利組織のオフィスビルに、突如閉じ込められた80 人の社員。不審がる社員たちに「これから30分以内に2人殺せ」と館内放送が流れる。外との連絡も取れず、時間だけが過ぎると4人が無残に殺されて…。

 

【オススメCOMMENT】                               タイトル通り、サラリーマンが殺し合うんです。映画的にはさほど珍しくない話ですね。当然、初めこそイヤイヤ言うんですが、結局は殺ってしまうんですね。よくある話なんですが、ほかの駄作と一線を画すのが、脚本と演出の上手さ。観ていて「なら殺っちゃうのもしょうがないよな」と納得させられます。この説得力が「所詮映画の話だし」みたいに、気楽に観ることを許しません。頼りになりそうな人、重要そうな人がささっと殺されちゃったり、ほんとにどこかでやってそうなラストも◎。

 

 

息子を想う夫婦の静かなる抵抗

『ヒトラーへの285枚の葉書』

 

 

ニューセレクトより12月2日リリース

(C)X FILME CREATIVE POOL GMBH / MASTER MOVIES / ALONE IN BERLIN LTD / PATHÉ PRODUCTION / BUFFALO FILMS 2016

【STORY】                                     ゲシュタポの記録文書を元にした小説を映画化。1940年、ベルリンに暮らすオットー夫婦に息子・ハンスが戦死したという知らせが届く。悲しみに暮れるオットーだが、やがてヒトラー政権を批判する葉書を街中に置き去る活動を始め…。

【オススメCOMMENT】                               最愛のひとり息子を戦争で亡くしたオットー夫婦。ふたりは政権、そして戦争に対する怒りや憎しみをポストカードに記し、人知れず街中にばら撒くと言う大胆な反抗を始める。この時代のドイツでそんなことをするのがどれほど危険かは容易に想像がつくが、それでも臆せず抵抗を続けた夫婦の勇気には頭が上がらない。そして葉書のほとんどが政府に報告されたが、未だに発見されていないものもあるらしい…。ふたりの想いに密かに賛同する人がいたということを願わずにはいられない。

 

 

少女が選んだ禁断の道とは

『ディストピア パンドラの少女』 

 

クロックワークスより12月6日リリース

 

(C)Gift Girl Limited / The British Film Institute 2016

【STORY】                                     ウィルスのパンデミックによって人類のほとんどが凶暴な「ハングリーズ」と化した近未来。人々はワクチン製造のために、ウィルスと共存する子どもたちを収容していた。その中に、希望となりそうな少女が見つかり…。

 

【オススメCOMMENT】                               近未来の荒廃した景色が美しい廃墟といった感じで、凶暴に喰いかかってくる「ハングリーズ」と呼ばれる感染者たちの姿にさえ、若干の憂いを覚えてしまう。終末世界の中で“答え” を見いだせるかもしれないある少女を見つけた時、人類はまたひとつパンドラの箱を開けてしまうことになるとは…。少女ご一同が、感染者から逃げ惑う中での闘いや捕食シーン(なかなかの映像)はショッキング極まりないが、少女が選ぶこととなる、戦いでもなく逃亡でもない究極の選択に釘付けになった。

 

■前回の誰シネ(11月リリースタイトル)はこちらから

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