毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!
<5月リリース作品>
忘れがたき夜、忘れられない人
『ポルト』
マーメイドフィルム/ポニーキャニオンより4月18日リリース
(C)2016 Bando a Parte – Double Play Films – Gladys Glover – Madants
【STORY】
ポルトガル第2の都市、ポルト。あてもなく日々を送るアメリカの26 歳の男と、考古学の研究をするフランスの32歳の女。ある日出会い、言葉を交わす前に互いに惹かれあったふたりは一夜を共にするが、女には恋人がいて…。
【オススメCOMMENT】
とにかくすべてのカットが憎らしいほどキマっている。シネスコでの“あの夜” のシーンは美しい過去を想起させ、一転、スタンダードの粗い画質の“その後” のシーンでは、ポルトの空気感が匂い立ち、ふたりの境遇の暗さを感じさせる。刹那の邂逅を永遠に続けようとした男と、永遠の思い出にしようとした女のすれ違いが切なく哀しい。時が経ちあの夜を思い出すふたりはあまり幸せに見えず、対照的に“あくる日の朝”、ただ見つめ合うふたりの横顔の比類ない美しさが、鮮烈な印象を残してくれる。
この愛国オヤジ、憎めない!
『オレの獲物はビンラディン』
トランスフォーマーより4月27日リリース
(C)2016 AOO Distribution,LLC.All rights Reserved
【STORY】 愛国心に満ち溢れたコロラド在住の中年男・ゲイリーは、ビンラディンの居所をいつまでも突き止められない政府に業を煮やす日々を送っている。そんなある日、突然神からお告げがあり、自ら探しに向かおうと試みるが…。
【オススメCOMMENT】
愛国心溢れる便利屋・ゲイリーは、自らがビンラディンを捕まえなければいけないという使命に駆られる。彼に啓示をする神様もツッコミ所満載だし、武器は日本刀しかないしで終始危機感ゼロの展開。結構笑えないぐらい危険な目的に向かっているはずなのに、彼のぶっ飛んだテンションと口先だけじゃない大胆な行動力に、いつのまにかこちらも応援モードに。そして30 分に1回くらいのペースでふと、「そうだこのオヤジはニコラス・ケイジだった」と何ともいえない気持ちになるのもまた良い。
儚い嘘、美しきピエール・ニネ
『婚約者の友人』
KADOKAWAより4月27日リリース
(C) Mandarin Production – FOZ – X FILME Creative Pool GmbH – Mars Films – France 2 Cinéma – Films Distribution
【STORY】 1919年ドイツ。戦争で婚約者のフランツを失くしたアンナの前に、フランツの友人を名乗る男が現れる。フランツとの思い出を語る男に、アンナの心は次第に癒されていくが、ある日男は自らの“正体” を告白する…。
【オススメCOMMENT】
“フランツ” というひとりの男が結びつけることとなった、本当ならば出会うことのない男女の心の通いが儚くも美しい。戦争がそうさせたと嘆くことしかできない現実と、ある行いへの悔やみ、そしてその苦悩を一手に引き取った自称、“友人”のアドリアン。彼を演じるピエール・ニネの美しさは本作で完璧に開花している。現在はモノクロなのに、フランツとの過去は鮮明なカラーで表されるというトリッキーな“仕掛け”は、さすがフランソワ・オゾン監督。史上最も哀しく美しいキスシーンに涙。
問答無用のバディアクション!!
『セントラル・インテリジェンス』
インターフィルム/ハピネット(ピーエム)より4月27日リリース
(C)2016 Universal Pictures,Warner Bros,Entertainment Inc. and RatPac-DuneEntertainment LLC
【STORY】 高校時代はスーパースターだったしがない会計士のカルヴィン。ある日、デブでいじめられっ子だったボブから連絡がありしぶしぶ会いに行くと、彼はマッチョの上に、CIAのエージェントというイケてる男になっていて…。
【オススメCOMMENT】
ご存じロック様ことドウェイン・ジョンソンと、日本ではまだメジャーではないものの、「世界で最も稼いだコメディアン2016」にも選ばれたケヴィン・ハートが共演のバディムービーとくれば、説明抜きに鉄板! 高校時代はデブのいじめられっ子が、今では筋肉隆々のCIA エージェントのイケてる男をドウェインが、逆に高校ではスターだったのに今はしがない会計士をケヴィンが演じ、その設定のひねりも適度に話に厚みを出しつつ、ふたりのやり取りの妙と、ド派手なアクションにスッキリ!
『ヒャッハー!』節全開!!
『アリバイ・ドット・コム
カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件』
アルバトロス・フィルムより5月2日リリース
(C)2017 Fechner Films – TF1 Droits Audiovisuels – Studiocanal – TF1 Films Production – CN5 Productions
【STORY】 依頼人のアリバイを作り、トラブルを回避する会社「アリバイ・ドット・コム」を経営するグレッグはある日、恋人の父親に浮気旅行の依頼をされてしまう。そしてその旅行になんと彼女と彼女の母親が居合わせてしまい…。
【オススメCOMMENT】
浮気、学校のずる休みなどなど手広く口実作りをこなすアリバイ・ドット・コム。偶然にも恋人の父親から浮気旅行の依頼を受けてしまった主人公ですが、彼女のことは本気。後ろめたさを感じながらも結局は協力することに。そこからシリーズお馴染みのドタバタ劇がスタートします。おバカな展開に爆笑しつつ、クレジットの明細やパスポートの入国審査印まで用意するスパイ顔負けの技術には感心。もちろん、お約束のお下品ネタも健在です! それにしてもこの会社、今の日本に需要あるかも。
ジェンダーレスな殺し屋に釘付け
『レディ・ガイ』
ギャガより5月15日リリース
(C)2016 SBS FILMS All Rights Reserved
【STORY】 凄腕の殺し屋フランク・キッチンは、ある日上顧客のマフィアの裏切りにより銃で撃たれ、意識を失ってしまう。目を覚ますとフランクの体は女に改造されていた…。彼は怒りに震えながらも、施術した女医を探し始める。
【オススメCOMMENT】
これはニュータイプのアサシン映画であり、予期せぬLGBT 映画だ。男女どっちも演じるミシェル・ロドリゲス嬢が大胆過ぎて赤面。(男ヌードも女ヌードも披露!)色気ムンムンの殺し屋が女性ホルモンでさらに色っぽくなり、相変わらず銃をぶっ放しながら看護師とも絡むというサービス満点ぶり。時に殺し、時に愛すツンデレのフランク。彼女を創造したマッド・ドクターのシガニー・ウィーバー(日本版はぜひ高畑淳子で)の女性特有の闇を抱えたワケあり感も、わざとらしくて良い!
■前回の誰シネ(4月リリースタイトル)はこちらから