誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<9月リリース作品>

 

この時代に見るべきハートフルドラマ

『はじめてのおもてなし

 

  ポニーキャニオンより8月17日リリース

 

(C)2016 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG / SENTANA FILMPRODUKTION GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH

【STORY】

 ミュンヘンの閑静な住宅地に暮らすハートマン家。ある日、母のアンゲリカが難民の受け入れを宣言する。ナイジェリアからやってきた難民の青年ディアロを迎え、はじめてのおもてなしに張り切る一家だったが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

子供が巣立って寂しさを抱える妻、老いを受け入れられない夫、仕事に追われる長男、31歳で自分探しをする長女など、結構ワケありなハートマン一家のもとに難民のディアロがやってくる。初日の食事での分かりやすい距離感など、どこか緊張気味に出迎える一家だが、誠実かつ純粋に彼らに寄り添おうとするディアロの空気感が良い。数々の騒動が起こるドタバタ劇ではありますが、おもてなしするはずの一家が逆に彼の存在に癒されていく光景、異文化の価値観から学ぶ人生の教訓にほっこりします。

招かれた強盗、エサと化す人間

KILLERS WITHIN/キラーズ・ウィズイン 

 

インターフィルムより9月5日リリース

(C) 2018 Killers Within Limited.

【STORY】

警察官のアマンダは、元夫が作った借金を理由に息子を誘拐されてしまう。身代金を工面するため、アマンダと元夫はセレブ一家の豪邸へ強盗として潜り込むが、その一家の正体は遥か昔から存在する知的生命体だった…。

【オススメCOMMENT】

強盗マスクのセンスの高さと、さすが警察な銃さばきに見惚れていたら、強盗に押し入った先の一家が何だかオカシイ。美女がやたらと誘ってくるし、むしろ来る者拒まずのこの雰囲気って…。実は彼らが人間社会を操っている、ある知られざる存在だったと分かると、たちまちジャンルが変わる様には思わず唸ってしまう。また、未知の生物である彼らが人間と交わるお色気シーンも満載で(これを彼らは大真面目に「人間との配合」と呼ぶ)、“襲おうとしたら襲われた”な逆転劇に思わずニヤリ。

男たちの華麗なる成り上がり劇

『ザ・キング』

 

 

バップより9月5日リリース

 

(C) 2017 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & WOOJOO FILM All Rights Reserved.

 

【STORY】 

元不良青年から猛勉強の末に検事となったパク・テス。新人検事として多忙の日々を送る中、エリート部長ガンシクに出会う。彼が他人を踏み台に権力を掴んだ成功者だと知ったテスは徐々に悪の魅力に染まっていき…。

 

【オススメCOMMENT】                              

「権力に寄り添え」と教えられた若き新人検事の成り上がり人生。このようなテーマの作品は見慣れているはずなのに、テンポの良い成り上がり劇と、彼らの巧みな戦略に終始釘付け。順調に出世していく主人公がいつか裏切られやしないかと、ヒヤヒヤしながら観るスリル感もまた楽しい。そして裏社会に染まり、権力に翻弄された彼がその先に見つけたものとは何だったのか…。彼の行く末に最後まで目が離せません。ちなみに、要所要所に挟まれる男たちのダンスシーンは地味にツボです。

 

 

荒野にかき消された少女の叫び

『ミステリーロード/欲望の街

 

 

キングレコードより9月5日リリース

 

 (C) 2013 Mystery Road Media Pty Limited, Screen Queensland Pty Limited and Screen Australia.

【STORY】

ある日、荒野を貫くハイウェイ沿いに首を切られたオーストラリア先住民の少女の死体が発見される。都会から故郷の町に戻ってきた先住民の刑事、ジェイが捜査に当たることになったが、様々な障害が持ち上がり捜査は難航する。

【オススメCOMMENT】                             

これぞハードボイルド。冒頭、殺害現場に遅れてやって来た上司の男は、暑いとぼやきながら車の中でアイスを食べ始める。警察のモラルの低さ、傲慢さに、事件の解決が容易でないことが予感されるシーンから釘づけだ。舞台がいい。見渡す限り地平線が広がる荒涼とした大地と小さな田舎町。町の人間も一筋縄でいかない者ばかりだ。極限まで説明を排した物語も見事、ラストの銃撃シーンは、驚くほど弾の質感が真に迫ってきて、経験したことのない怖さを感じる。骨太でタフで、やるせない良作。

 

 

若いふたりが追求する正義の形

『ミッドナイト・ランナー』

 

クロックワークスより9月5日リリース

 

(C) 2017 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

【STORY】 

警察大学で学ぶ行動派のギジュンと頭脳派のヒヨルは、外出先で偶然にも拉致現場を目撃する。学んだ知識を頼りに警察に通報するも捜査は一向に進まず、ふたりは独自の捜査を始め、やがて予測不能な状況に陥ってしまう。

 

 【オススメCOMMENT】   

パク・ソジュンとカン・ハヌル、2大イケメンの長い脚がソウルを駆け回る。取り柄は若さと教科書の知識だけという青いふたりが拉致事件を通報するも、上司の指示なしに動けない、と警察は何とも冷たい態度。大人に従っていたら、失踪者の命は助からない。いてもたってもいられず、危険な組織に近づいてしまうふたり。しかもその拉致は、“女性のあるもの”が目的という陰惨さ。半裸で吊るされるイケメンたち、そして愛の唾飛ばし。若いふたりが“正義とは何ぞや?” と追求する姿が爽快な1作。

 

デンゼルのこだわりの役作りを堪能

『ローマンという名の男 -信念の行方-』

 

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより9月5日リリース

(C) 2017 Columbia Pictures Industries, Inc., CCP Inner City Film Holdings, LLC, Bron Creative Corp., Macro Content Fund I, LLC and IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.

【STORY】

孤独で不器用だが熱い信念を持つ弁護士のローマン。事務所の代表が病に倒れ、新しい働き口を探すことに難航する中、守秘義務を破り不正に大金を手にしてしまう。これまでの生活から一転、享楽的な生活を楽しんでいたが…。

【オススメCOMMENT】

中途半端なアフロにメタボな身体、だぼだぼスーツに履きつぶした靴。ヘッドホンも、眼鏡も時代遅れ。D・ワシントンの役作りがインパクト十分。見た目だけでなく、あらゆる言動がちょっとずつズレたりして、「あまり関わりたくない」絶妙に嫌な人物像に。長年、不遇な日々を送ってきた男が、魔がさして大金を手にするが、金によって得られる幸せの限界を知り、改めて “正しい行い”に立ち返るまでの一連の演技は本当にさすが。彼の衣鉢を継ぐようなふたりの人物の姿も感動的です。

 

 

 

■前回の誰シネ(8月リリースタイトル)はこちらから

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