毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!
<7月リリース作品>
そこにいるならいるっていって
『The Room』
キングレコードより7月5日リリース
(C)Milospy合同会社
【STORY】 同棲を始めてすぐに、彼がアメリカに出張に行ってしまった彼女。スカイプで連絡を取り合う中で、部屋に怪奇現象が起こり出す。不安に怯える彼女は、気のせいだという彼にも不信感と募らせ次第に精神を病んでいく。
【オススメCOMMENT】 とにかく伊藤歩です。『スワロウテイル』から20年。けっこうなお年のはずが、20代そこそこのイマドキ女子を全く違和感なく演じます。しかも、基本的にスカイプの画面上でのやり取りを映すという演出上、だいたいアップ、なのにとても美しい。そんな彼女が不可解な現象に怯え、次第に精神を病み狂的になる様は圧巻。何が怖いって、あんただよ、と言いたい。チョイ役で忍成修吾が彼の親友役で部屋を訪れますが、ふたりの過去の共演作を知っているとそれだけで心拍数が上がってしまいます。
爺ちゃんが頑固になったワケ
『幸せなひとりぼっち』
アンプラグド/ポニーキャニオンより7月5日リリース
(C) Tre Vänner Produktion AB. All rights reserved.
【STORY】 妻に先立たれ、長年勤めた仕事まで失ったオーヴェは、孤独に苛まれて自殺を図ったが、引っ越して来たお隣に偶然邪魔されてしまう。不器用ながらも近所との友情を育む中で、彼は“ある出来事”について語り始める…。
【オススメCOMMENT】 全世界共通の頑固爺さんが、世の中バカげてると毎日愚痴りまくる。首吊のトライ中に、絶妙のタイミングで邪魔をするお隣さんは天使なのか。オーヴェと触れ合う中で、爺さんがただの嫌な奴ではないと気付いていく周りの温かい人々。そしてオーヴェが妻との日々を回想する中で、人生を一変させてしまった事件が明るみになると物語は一気に色を変える。そう、ここまで頑固になったのには、ちゃんと“理由”があるんです。爺ちゃんに隠された、本当の人間性が見られてほっこり。
これぞ超大作! ただ面白い!
『バーフバリ 伝説誕生』
ツインより7月5日リリース
(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.
【STORY】 巨大な滝から流れる大河で、兵士に追われた高貴な女が抱えていた赤子を助けるために自らの命を落とした。救われた男の子はやがて逞しい青年に育ち、運命に導かれるように女が逃れてきた滝の上を目指すようになる。
【オススメCOMMENT】 規格外のスケールの大きさ、懐の深さに圧倒されっぱなし。あるのはただ、果てのない大自然、雲を突く城郭、濃い顔にガチムチの男たち、過剰な色気が溢れて仕方ないヒロイン、血塗られた悲劇の一族、底抜けに野卑で野蛮な荒ぶる侵略者、唸る鉄球、突き刺さる矢、吹き飛ぶ兵士、燃えさかる紅蓮の炎等々…、とにかくちまちましたドラマなど入り込む余地などなく、日本人にはない感覚から繰り出されるアメージングな映像、展開の数々に、日々の悩みなんてほんと、どうでもよくなります。
惨事の特盛を召し上がれ
『フライト・クルー』
インターフィルムより7月5日リリース
(C)2016 CENTRAL PARTNERSHIP
【STORY】 噴火した火山島からの通報を受け、人々の救助に向かった2人のパイロット。溶岩が押し寄せる中、2機に分かれ島からの脱出を試みるも、損傷を受けた飛行機が飛行困難となり、空中での前代未聞の救出作戦が始まる。
【オススメCOMMENT】 5分以内に飛ばないと、滑走路は溶岩で覆い尽くされる。とにかく乗る、飛ぶ、逃げる! しかない。地震に爆発に、溶岩の波に、空港パニックは次から次へと繰り出され、正直、脳内処理の時間なし。脱出できたと思ったら2機のうち片方が制御不能に。そんな特盛の悪夢ないわ。ただ、これがすごいのはそんな状況からあり得ない脱出策をやってみちゃうこと。空中で飛行機と飛行機の間を綱で移動した人、いたら教えて欲しい。ロシアのイケメン機長との楽しい地獄の旅へようこそ。
答えは無いけど、恋って素敵
『僕と世界の方程式』
ミッドシップより7月5日リリース
(C)ORIGIN PICTURES (X&Y PROD) LIMITED/THE BRITISH FILM INSTITUTE / BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2014
【STORY】 周囲に心を閉ざしている少年、ネイサンは数学に天才的な才能を持っていた。そんな彼が亡き父の思い出と母の愛情を支えられながら、国際数学オリンピックの金メダルを目指していく。その先に彼が見つけたものは…。
【オススメCOMMENT】 数学が大好きで、少し変わり者扱いされていた少年、ネイサン。大好きだった父を亡くし、心を閉ざしてしまった彼だったが、国際数学オリンピックの代表に選ばれたことで、彼の人生に光がさしていく。初めて出会う、自分と同じような仲間たちや、甘酸っぱい恋の経験。答えの出ない新たな感情に戸惑いながらも、少しずつ周囲に心を開き、成長していく。どこかぎくしゃくしていた母親に心を開いた時、彼が流した涙には、亡き父への想いと何か解放されたような安堵感が溢れていた。
バレエ界を変えた若き異端児
『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』
トランスフォーマーより7月7日リリース
(C) Falabracks – Opéra National de Paris 2015
【STORY】 世界最高峰の芸術を提供するバレエの殿堂“パリ・オペラ座”。錚々たる有力候補たちを押しのけ、史上最年少で芸術監督となった若き天才、ミルピエは、伝統ある舞台に大胆な革新をもたらしていく…。
【オススメCOMMENT】 “パリ・オペラ座”の舞台で、伝統を否定し、革新的な変化をもたらした天才振付師、ミルピエ。本作は、そんな若き天才の挑戦と、最高の舞台のため彼と共に駆け抜けてきたスタッフ、そしてダンサーたちの怒涛の40日間を描く。最後の最後まで手は抜かない、そんなミルピエの想いは熱く、そして美しい。ストによる公演中止や、ダンサーのケガなど、数々の困難を乗り越え迎えた本番前日。彼がダンサーに告げた「自分のために踊るんだ」という言葉には、思わず涙がこみ上げた。
■前回の誰シネ(6月リリースタイトル)はこちらから