少年

しょうねん|----|----

少年

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レビューの数

33

平均評点

75.4(190人)

観たひと

285

観たいひと

20

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1969
公開年月日 1969/7/26
上映時間 98分
製作会社 創造社=ATG
配給 ATG
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督大島渚 
脚本田村孟 
製作中島正幸 
山口卓治 
撮影吉岡康弘 
仙元誠三 
美術戸田重昌 
音楽林光 
録音西崎英雄 
編集白石末子 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演渡辺文雄 
小山明子 
阿部哲夫 少年
木下剛志 チビ

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「新宿泥棒日記」でトリオを組んだ田村孟が脚本を、大島渚が監督、そして吉岡康弘が撮影を担当した。“当り屋”に材を得た社会もの。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

秋風のたつ夕暮、無名地蔵のある広場で、ひとり“泣く”練習をしている少年がいた。翌日、その少年の家族四人が街へ散歩に出た。やがて交差点に来ると、母親が一台の車をめがけて飛びだし、続いてチビを抱いた父親が間髪を入れず、駈けつけ、叫んだ、「車のナンバーはな……」。傷夷軍人の父、義理の母と弟のチビ、少年の家族の仕事は、病院の診断をタテに示談金を脅しとる当り屋だった。二回目の仕事が成功した時、父の腹づもりが決まった。少年を当り屋にしての全国行脚がそれだった。少年は、父母からかわるがわる説得され、家族とともに祖母の家を後にした。一家が北九州に来た時、母が父に妊娠したことを告げた。が、一家の生活は、彼女に子供を産ませるほどの余裕を与えなかった。父は母に堕胎を命じ、一家はその費用を稼ぐために松江に降りたった。その夜父は芸者を呼んで唄い騒いだ。少年は、土佐節を聞いているうちに、高知の祖母に会いたくなった。が、高知に帰るには小遣が足りなかった。やがて、一家は福井に来た。そこで新しい運動帽をかぶり、なんのわだかまりもなく車に当る少年。その姿は、父母にすら恐怖を覚えさせるほどだった。父は母が病院へ行くのに少年を監視役としてつけた。が、母は少年に腕時計を買い与え産婦人科へは行かなかった。仕事の旅は依然として続き、一家は北陸路を辿り、山形に着いた。この頃、母はつわりに襲われ、少年は母と二人で父に内緒の仕事をした。一家が小樽へ着いた時、父母が少年を奪い合って喧嘩をした。父はいつものように母を殴り、雪に母の血が散った。その時、少年は、時計のくさりで、手の甲を血がでるほど掻きむしった。その意味を悟った父は、時計を投げすてた。チビが、その時計を拾いに道へ出た瞬間、一台のジープが電柱に衝突。少年は、担架で運ばれる少女の顔に一筋の血を見た。雪の中には少女の靴が、ひっそり残っていた。少年の一家が逮捕されたのは、春が芽ばえはじめたころだった。少年は、父母とともに犯行の一切を否認した。が、翌日護送される車中で、北海道の事件を思い浮かべて、涙をこぼした。あの少女の死は、少年たちの仕事が絶対的に悪であると啓示した。少年は、そのように生きなければならなかった自分の運命に涙を流した。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年3月下旬号

巻頭特集 大島渚 全:大島映画と生きる「少年」

1970年2月上旬決算特別号

特別グラビア 日本映画ベスト・テン:心中天網島/私が棄てた女/少年/かげろう/橋のない川/男はつらいよ/ベトナム/新宿泥棒日記/続男はつらいよ/風林火山

2024/03/17

2024/03/19

99点

その他/大島渚賞受賞イベント 丸ビルホール 


この家族は無罪だ

父が傷痍軍人。大島渚監督のドキュメンタリー傑作「忘れられた皇軍」に示された痛みはここにも示される。少年という意味では、デビュー作「鳩を売る少年(「愛と希望の街」に改題)」から、そして早くして父を亡くした大島渚監督自身を重ねつつ、在日朝鮮人はすでに「絞死刑」で日本人の愚かしさを立証している。

大島渚監督はこの映画のあと1971年朝日新聞に「国家」というレビューを書いていて、この映画の冒頭に映る印象的な黒い太陽について説明している。建国記念の日、つまり紀元節の復活は、国家が戦争などで人を殺すという絶対悪を合法化している限りにおいて私達は常に無罪だ」と言う。

この4人の家族がにこの国を横断して犯す詐欺行為は無罪なのだ。むしろ彼らがなぜこのような行為を繰り返すことになったのかを認識する必要に迫られる。

北海道でチビが飛び出して車が道からそれて、その車の中の美しい少女がこちらを見ている。このシーンが一時的にモノクロで語られるのは、死んだ彼女の額から鮮やかな血が額から生々しく流れるシーンを強調するためだろうか。我々の体に流れる血と日の丸に示さる太陽は対等なのだろうか。

傷痍軍人の父が傷跡を示して少年を叱りつける。まるで「死んでこい!」と命じているように見えるこのシーンは、国家がこの家族に背負わせた犯罪行為を裏付けるものだ。行き場を失った者は犯罪に身を委ねるしかない。しかし国家の犯罪行為が合法化されている限り、この家族は無罪なのである。

その意味でこの映画は、強く「戦争」を意識させる映画だ。

2023/05/03

2023/05/04

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 


国家と国民の関係性を戯画化してみせた。

すごく簡単な物言いとすると渡辺文雄の傷痍軍人の父親を日本国家、彼に力で抑圧され言いなりのように当たり屋の仕事をする母、子どもを国民の暗喩として戯画化してみせている。大島渚の反体制的姿勢は一貫している。特に60年代の作品は顕著。タイトルバックの黒い日の丸やたびたび象徴的に映される国旗など毎度お馴染みの感がある。メッセージを受け入れるかどうかは別にして、こういう作品を提示し、それを鑑賞する文化は健全。忖度によって上映禁止するのは良くない。

2023/04/14

2023/04/14

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『少年』。当り屋一家のロードムービー。高知を出発して日本海側の町を転々と移動。各地でロケーション。数回白黒映像になるが、どんな意図があるんだろう。3歳のチビ(木下剛志)が何とも可愛い。本当の親子になり切っている。じゃらけつほい。小樽の宿、無地の位牌と骨箱が積んである祭壇は何?。

2021/09/04

2021/09/07

50点

VOD/U-NEXT 


「僕… やりたいんじゃない でも…」

大島渚監督の実話ベースの物語。
低予算で全国縦断ロケをしたそうな。
ちゃんと観たのだがそこまでハマれず。
大島渚作品は合う合わないがハッキリしているが今作は合わない方。

2020/06/16

2020/06/16

79点

選択しない 


大島渚監督作品はいくつかしか観てないけど
なんか、人が嫌になってくる。
ほんとにもう、つらい

もっと甘っちょろい現実があってもいいじゃないですか
あまり人に深入りしない方が身のためですか

やっぱりお金ですかねぇ
つらいです。。。

2020/04/18

2020/04/18

70点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


当たり屋

少年の逃れられない家族との奇妙な絆。
働かない父親(渡辺文雄)と当たり屋で体を張って稼ぐ継母(小山明子)そして継母の連れ子の幼い弟の4人による全国縦断当たり屋稼業の日々を描く。
少年も嫌々ながら当たり屋として仕込まれていく。しかし母親が妊娠したことから関係が微妙に変化していく。少年は父親の元から逃れようと家出するが、結局は戻ってきて何事もなかったように当たり屋稼業に戻る。そしてとうとう警察に捕まることになるが、少年はしらを切り通す。父親よりも母親の方をかばい立てする少年。
ドキュメンタリー風にカラーになったりモノクロになったりしてそのときの少年の心理を描いていく。北海道の雪の中で、死んでやるといいながら、弟に慕われると、雪だるまを作り、アンドロメダ星人といってそれを壊すシーンは少年のやりきれなさが象徴される。宇宙人には父親も母親もいない、一人で生きていくが、困ったときは仲間が助けに来てくれるという幻想は我が身の家族とのがんじがらめの境遇から抜け出したいという気持ちの表れか。