人々は孤独に見える.歴史のある町フィラデルフィアは秋になり,風が木々を揺らしてる.木の葉が落ちてくる.人々は静かに,笑いもなく暮らしているようにも見える.
児童のカウンセリングをしているマルコム(ブルース・ウィリス)は,時に視線を合わせずに,見ている少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)から目を逸らす,また,銅貨お使った手品を披露し,少年の目を逸らそうともしている.地下にはワインセラーがあり,その奥からのぞく視線が感じられる.父が置いて行った壊れた時計やおばあちゃんのペンダントなどコールの周りにも小物は多い.少年は,少し前進し,少し後退する.彼は,身の回りに何かが起きていると感じており,その感覚が彼を孤独にしている.化け物(フリーク)とも呼ばれ,母のリン(トニ・コレット)らは,息子の体に傷を見つける.コールは,感じるとコールドを患い,寒気がしている.彼の秘密は母にも言えず,その言えないことが障害となってさらにコールに重圧をかけている.
母がそんな少年に与えたであろう犬が走り出す.少年の小さな祭壇にはいくつもの小さなキリスト像が祀られている .サファイアを見つめるカップルと共にいる店員は,マルコムの妻アンナ(オリヴィア・ウィリアムス) で,宝石が何かを語ると告げる.ブラウン管のモニターが付いている.カセットテープが回っている.ある亡くなった少女が残したビデオテープも回っている.主観のキャメラは自在に見えながら,空間や情況に拘束されているように見える.ドアノブがクロースアップされ,こうしたキャメラのワークと視線には憑依的なもの,浮遊するものが感じられる.
ヴィンセント(ドニー・ウォルバーグ)も不気味にマルコム夫婦の前に現れ,何かを演じ,伝えようとしている.コールはコールで,子どもたちの舞台に立ち,アーサー王の役を演じ,剣を抜いている .火のゆらめきがあたりを照らし,白い吐息が見える.心霊的なものは,日常の中に生起している.象徴は,そうした心霊が凝ったものとして,象徴のようにして,映像やガラスを通した像のようにも見えてくる.