私はリメイクされたハリウッド版を先に観ました。数年前に観てから、ずっとオリジナル版が気になってました。
今回めでたく初鑑賞。率直に言って、オリジナル版の方が上でした。格調の高さが違います。
主人公マーサを演じたマルティナ・ゲデックの透明感ある美しさも魅力的でした。コックコートの白さが彼女の美白を更に際立たせるのだから、惚れ惚れしました。
鑑賞後はリメイクされたことに納得も出来ました。
ドイツ映画という括りでいうと、こんな洒落た映画があったのだと意外でもありました。私の勝手なイメージかもしれませんが、ドイツ映画は厳格で穏やかではないという先入観がありました。
しかし本作は違います。人間愛の描写に満ちております。
そしてお洒落なのですが、気障っぽくなくて、笑えて、ハートフルで、ロマンチックでした。
人物描写も国民性が表現されていて、面白かったです。主人公のマーサは生真面目なドイツ人そのもの。シェフという仕事に生きて、人間関係には少し不器用です。(ドイツ人が人間関係に不器用とは言ってません)彼女とは対照的にマーサが恋に落ちるマリオは、一般的なイメージの陽気なイタリア人。この似ても似つかない二人が衝突しながらも心の距離を縮めるところは見応えありました。
二人の関係の繋ぎ役になったのはマーサの姪っ子のリナでした。マーサの姉の突然の死でリナを引き取ることになったマーサは混乱するばかり。そこで助け船を出すのがマリオでした。子供は遊び心のある大人には懐きますから。マリオのキャラ設定は抜群に良かったと思います。
マーサとリナに絆が生まれて、二人がどうなるのかラストまで目が離せません。
劇中の気に入ったカットは3つありました。
1つ目はマリオがマーサに目隠しをさせ、味見させるシーン。色香に溢れてました。
2つ目はマリオがリナにパスタを食べさせる時の演出。さりげなさが良い。
3つ目はリナを迎えに行く時の、マリオが言った言葉。ドイツを誉めてるのか貶してる分からないがユーモアのセンスに富んでました。
ラストも気持ちよく終わって、私的にかなり満足できる作品でした。