嶽本野ばらの同名小説が原作。
茨城県下妻市に住むロリータ少女とヤンキー娘の奇妙な友情を描く青春コメディ。東京近郊に住む中途半端に都会化された若者たちの垢抜けない青春を、CMディレクター出身の中島哲也が様々な映像表現を駆使して戯画化。ストーリー同様のアナーキーな演出が最大の見どころとなっている。
ロリータ少女・桃子(深田恭子)が、クライマックスとなる親友のヤンキー娘・イチゴ(土屋アンナ)の危機を救うために原チャリで駆けつける際に、八百屋(荒川良々)の軽トラと交通事故を起こすシーンから始まり、倒置法で桃子のモノローグによる略歴とそれまでの経緯を説明するという手法を取る。
この略歴紹介に、ストーリーの流れを無視したアニメやエピソードを織り込むのが意表をついて上手く、よくできたシナリオとなっている。
元チンピラの父(宮迫博之)の売れ残り品の偽ブランド品を、ネット通販に出したことがイチゴと知り合うきっかけで、水と油の二人が混じり合っていく過程を描いていく。
ロリータファッションという自分だけの世界に没入する桃子は、ロココの享楽的な外見とは裏腹に、自分の殻に閉じこもって孤独であり、レディースに繋がりを求めるイチゴも社会から疎外されて孤独であり、その共通点によって二人が無意識のうちに友情を深めていく。
それは都会でも田舎でもない土地に住む若者たちの中途半端な自己認識でもあって、二人がそれを断ち切って、受動から能動へと自立していく。
二人を取り巻く大人たちのキャラクター造形もよくできていて、桃子の母に篠原涼子、祖母に樹木希林。イチゴが片想いするチンピラ・一角獣の龍二を演じる阿部サダヲのリーゼントが楽しい。
ロリータ少女を演じる深田恭子はハマリ役。土屋アンナがナイーブなヤンキー娘を好演。(キネ旬3位)