愛より強く

あいよりつよく|Gegen Die Wand|Head-On

愛より強く

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レビューの数

14

平均評点

76.9(48人)

観たひと

81

観たいひと

16

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス
製作国 ドイツ トルコ
製作年 2004
公開年月日 2006/4/29
上映時間 121分
製作会社 表記なし
配給 エレファント・ピクチャー
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

人生に絶望した男性と家族から逃れたい女性が偽装結婚をして、次第に激しい恋に落ちるラブ・ストーリー。監督・脚本は、本作の後に「クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール」を制作した「太陽に恋して」のファティ・アキン。出演は「スターリングラード」のピロル・ユーネル、本作がデビュー作となるシベル・ケキリ、「イノセント」のグーヴェン・キラック。2004年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

40歳になるジャイト(ピロル・ユーネル)は、愛する妻を亡くし人生に絶望して自殺未遂を起こし、精神病院へ送り込まれる。ある日、精神科クリニックで出会った自分と同じくトルコ系ドイツ人の若くて美しいシベル(シベル・ケキリ)に、結婚して欲しいと言われる。シベルは、信仰心が厚く保守的なイスラム教徒の家族から逃れるために、自殺未遂のふりをしていたが、それは不名誉をもたらすものの自由を与えはしないことに気づき、結婚という手段を選んだのだ。ジャイトは彼女を救うため、そして自分の人生のなかで一つでも意味のあることをするために同意する。愛のない、偽装結婚だった。二人はアパートをシェアするが、その他のことはほとんど共有することはない。彼女は自由を味わい、彼はかつて恋人だった女性と時折、情事を持つ。しかし、次第にジャイトはシベルを愛するようになる。ジャイトはシベルへの愛情が大きくなるにつれ、人生に新しい歓びを見出し、みなぎる力を感じるようになる。だがシベルは、まるでそれが自由の証であるかのように、他の男たちとの一夜だけの関係を続ける。ある日、嫉妬にかられたジャイトがシベルに言い寄る男を殺害し、ジャイトは刑務所に送られる。シベルはその段階になってようやく、自分もまた彼を深く愛していることに気づく。行き場のなくなったシベルは、新しい人生を歩むためにトルコ、イスタンブールへと旅立つ。ジャイトへの永遠の愛を誓うシベルだったが、彼と会えない寂しさから、次第に酒、ドラッグへと溺れていく。数年後、出所したジャイトはシベルに会うためイスタンブールへ向かうが、彼女がどん底の生活の後、結婚して今は穏やかに暮らしていることを知る。二人は再会し、ジャイトはシベルに、二人だけで旅へ出ようと誘う。しかし待ち合わせの場所にシベルは現れず、ジャイトは一人で旅立つ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2006年5月上旬号

特別企画 GW映画作家主義:「愛より強く」「太陽に恋して」ファティ・アキン監督論

2023/10/20

2023/10/21

70点

選択しない 


平均的なラブストーリー

ファティ・アキン監督に映画では、様々に思い悩みながらノーマルな結末になるという印象があります(女は二度決断する、太陽に恋して、50年後のボクたちは、等)が、こちらはその典型的な作品かな。私の苦手な血の場面が多いのには辟易しましたが、恋愛感情もドラマチックに描かれていても、流れはシンプルで結末も予想通りでした。

2023/01/28

60点

選択しない 


ボスポラス海峡の演奏がトルコ民話の吟遊詩人のような効果

 原題"Gegen die Wand"で、壁に向かっての意。
 ドイツのトルコ移民の男女二人の恋物語で、前半は北ドイツの港湾都市ハンブルク、後半はトルコの中心都市イスタンブールが舞台となるが、途中イスタンブールのボスポラス海峡でのトルコ音楽の演奏シーンも入り、背景や文化の説明不足もあって、トルコ人の移民事情に疎い者にはわかりにくい、ドメスティックな作品になっている。
 本作で一番面白いのはボスポラス海峡の演奏シーンで、遥か遠くのドイツに渡った男女の悲恋を語る、トルコ民話の吟遊詩人のような効果を生んでいる。
 歌っているのはイスタンブールのアジア側で、ボスポラス海峡の対岸に見えるヨーロッパを背景に、分断ないしは融合された二つの文化の「壁に向かって」に生きるトルコ人を、ドイツで暮らす移民に重ねる象徴的なシーンとなっている。
 物語は、ハンブルクに住む妻と死別した中年男ジャイト(ビロル・ユーネル)が自棄になり、原題通りに車を壁に激突させて自殺を図るところから始まる。
 鞭打ち症だけで助かったジャイトは、病院でリストカットした若い女シベル(シベル・ケキリ)と知り合うが、ジャイトがトルコ人と知ったシベルにいきなり結婚してほしいと叫ばれる。
 さてはプッツン女かと思いきや、敬虔なムスリム家庭で抑圧されたシベルは、自由を手にするには結婚しかなく、ムスリムのトルコ人なら親も許すと考えている。酒と薬に溺れる世俗派のジャイトにムスリムのふりをさせ、強引に偽装結婚に持ち込む。
 以下、ただの同居人のはずだった二人が恋に落ちるという定型を踏み、酒と薬とフリーセックスの自由を謳歌するシベルに嫉妬したジャイトが、彼女のボーイフレンドを殴殺。ジャイトへの愛に気づいたシベルが、出所するまで待つという約束をしてイスタンブールで真面目な暮らしを始めるが、一人に耐えきれずに結婚してしまう。
 出所したジャイトがシベルを訪ね、駆け落ちを持ちかけるが、今の生活が捨てられないシベルはバスターミナルに現れず、一人故郷メルスィンに帰って行くという、故郷に帰るトルコ移民の哀しい恋物語で終わる。
 ラストでシベルが自由を得たのかどうか、ムスリムの暮らしに戻ってしまったのか曖昧で、センチメントに流れているのが惜しい。
 二人の会話に出てくるトルコの地名がわからないのも背景の理解を妨げている。

2019/10/29

2019/10/29

75点

レンタル/東京都/ゲオ/ゲオ井荻駅南口店/DVD 
字幕


ベルリン映画祭

愛情に欠乏した同士の偽装結婚から、お互いの微妙な距離感の描き方が秀逸。ドラッグに頼らざるを得ない二人のいく末は決してハッピーではない。

2019/04/04

2019/04/05

71点

選択しない 


キャッチャーなロマンティックコメディ的前半から後半のシリアスな展開へのトーンチェンジがすごい

移民の子としてドイツで育ち、アイデンティティや文化の違いに苦悩したりする姿がよく描かれていたと思います

2018/05/05

2018/05/05

75点

その他/ツタヤディスカス、DVDレンタル 
字幕


前半は、イスラムならではのロマンティック・コメディかと思ったが・・・。

 後半は、ある事件をきっかけに、戻ることの出来ない深刻な事態に・・・。

 トーンが変わってしまって、どうにも暗くてやりきれない展開に、何と言ってよいのやら。
 
 トルコ語、トルコ音楽、トルコ人意識が、かなり強く押し出された作品。音楽は素敵だ。
 ドイツ映画もインターナショナルになったものだ。
 
 でも「太陽に恋して」の軽やかさは、どこに行ってしまった?

2017/11/06

2017/11/06

70点

レンタル/岡山県/TSUTAYA/蔦屋十日市店/DVD 


すれ違ったときに、愛が生まれる

ジャイトとシベルの間にすれ違いが生まれたときに、愛も生まれる。シベルに手が届かなくなって、思い焦がれるジャイト。また、同じ立場になったときに自暴自棄になるシベル。どちらの思いも切ない。