21歳になったティムは突然父親から一族の男にはタイムトラベルの能力があることを打ち明けられる。
ただし自分の過去にしか行くことは出来ない。
金儲けのためでなく理想の人生を歩むために能力を使うように父親に忠告されたティムは、この能力を愛のために使うことに決める。
しかしシャーロットという妹の友達と恋仲になるために何度もタイムトラベルを繰り返すティムだが、望んだ結果を得ることは出来なかった。
彼は気づく。タイムトラベルでは愛は得られないのだと。
時が経ち、弁護士として働き始めた彼は、メアリーと運命的な出会いをし恋に落ちる。
しかし同居人のピンチを救うためにタイムトラベルを使ったために、彼はメアリーと出会わない人生を選択してしまうことになる。
あの手この手で何度もタイムトラベルを駆使しながら、何とかメアリーとの出会いを取り戻そうとするティムだが、明らかに不自然で焦ったような素振りを見せる彼の姿がちょっとキモチワルくて面白い。
そしてティムは最愛の妹キットカットの力を借りながら、何とかメアリーと恋人の関係に持っていくのだが、何かひとつ失敗をする度に席を外してタイムトラベルで挽回しようとする彼の姿もまた滑稽だ。
特により刺激的なセックスで彼女を魅了するために、三度もタイムトラベルをするシーンには笑ってしまった。
この映画を観て、誰しもがティムのように過去に戻ってやり直すことが出来たらと思うだろう。
過去に取り返しのつかない失敗をしたり、大切な人に伝えるべき言葉を伝えられなかったりと、誰にも後悔のひとつやふたつはあるはずだ。
しかし失敗することが必ずしも人生にとって悪いことであるとは限らない。
ティムは何度も過去をやり直しながら最善の道を選ぼうとするが、実はそれによって閉ざされてしまう未来もある。
人生で起こることの意味は、ずっと後にならないと分からないこともある。
傷つくことやトラブルを避けて通る人生など、実はとても味気のないものだ。
そしてこの映画も、たとえタイムトラベルで過去を変えたとしても有意義な人生を送れるわけではないことを示している。
人生は一度きりしかないから尊い。
そしてやり直せないからこそ大切に出来るものなのだ。
この映画が示すのはかけがえのない一度きりの人生の素晴らしさだ。
人は予測することは出来ても、どうやっても未来を知ることは出来ない。
人は未来が分からないからこそ不安を感じるが、起こらない限りそれは現実にはならない。
一日の終わりに、たとえドラマチックなことは起こらなかったとしても、その日を無事に過ごすことが出来たのだとすれば、それはとても素晴らしいことなのだ。
視点を変えればどんなことでも尊いものに感じる。
分からない未来に目を向けるよりも、今を全力で生きることが幸せに繋がるのだと改めて考えさせられた。
同じ能力を持つために他の人たちとはまた違う絆で繋がるティムと父親の姿にグッと来るものがあった。