社会派作品の傑作。What we've got here is failure to communicateは(本当は)誰に向けて発せられているのだろう
社会に上手く適合出来ていないと自分自身で思い込み、生き辛さを感じているルーク(ポール・ニューマン演じる)の生き様を描いた作品。ルール・規則などに縛られるのが性に合わないと感じているのだが、そのアウトロー振りが格好良く、何の準備も無く、事に臨む姿(J・ケネディとのボクシング、ポーカーなど)が徐々に周囲の共感を呼び起こし、人気ものになる。それが端的に現れたのが、道路舗装を一気にやり遂げた時であり、卵50個を食べきった時で頂点に達する(何てったって、食べ終わって横たわる姿が、キリストの磔られた姿を体現していた)。前半の刑務所内での、この様な人間模様がとても生き生きと描かれており、好感が持てた。また、母親との面会シーンも良かったなぁ。母親は、「エデンの東」の母親の様な感じ(娼婦的な商売をしていたと感じさせる)だが、ルークが唯一頭が上がらない相手(大好きだという気持ちを隠さない相手)だと感じさせた。
原題はCool Hand Luke。ルークのポーカーでのクールな勝ち方を見て、J・ケネディが命名したのだが、そのポーカーフェイスを称して、Luke smileという言葉も生み出す。Luke smileは、まさにポール・ニューマン自身のはにかみ笑顔だと感じる(うちに抱えているモヤモヤ感や不満・いらだち等を隠し、クールな自分を装うが、それを装いきれない時に出てしまう笑顔)。アメリカン・ニューシネマを体現している彼にぴったりの笑い顔だ。
後半は脱獄を繰り返すことになる。ルークの本当の悩みが垣間見られたり、刑務所ではあんなに威張っていたJ・ケネディが無力だったりと、社会と個人の価値観の関わりなんかが描かれていた。都合の悪いことを隠ぺいする組織なども、、、