焼肉ドラゴン

やきにくどらごん|----|----

焼肉ドラゴン

amazon
レビューの数

83

平均評点

73.5(496人)

観たひと

675

観たいひと

71

(C) 2018「焼肉ドラゴン」製作委員会

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2018
公開年月日 2018/6/22
上映時間 127分
製作会社 「焼肉ドラゴン」製作委員会(制作プロダクション:ステューディオスリー=松竹撮影所)
配給 KADOKAWA=ファントム・フィルム
レイティング 一般映画
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督鄭義信 
脚本鄭義信 
原作鄭義信
(戯曲『焼肉ドラゴン』)
エグゼクティブプロデューサー小西啓介 
堀内大示 
巖本博 
畠中達郎 
本間憲 
岡田美徳 
高橋一仁 
岩崎アキ子 
三宅容介 
梅川治男 
企画プロデューサー江守徹 
佐々木弘毅 
企画清水啓太郎 
製作統括小西啓介 
加茂克也 
プロデューサー森重晃 
清水啓太郎 
撮影山崎裕 
美術磯見俊裕 
装飾中込秀志 
音楽久米大作 
録音吉田憲義 
照明尾下栄治 
編集洲﨑千恵子 
VFXスーパーバイザーオダイッセイ 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演真木よう子 静花
井上真央 梨花
大泉洋 哲男
桜庭ななみ 美花
大谷亮平 長谷川豊
ハン・ドンギュ 尹大樹
イム・ヒチョル 呉日白
大江晋平 時生
宇野祥平 呉信吉
根岸季衣 長谷川美根子
イ・ジョンウン 英順
キム・サンホ 龍吉

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「血と骨」などの脚本家・鄭義信が原作を手がけ、数々の演劇賞を受賞した同名舞台を自らメガホンをとり映画化。高度経済成長期の1970年代。故郷を奪われ、関西地方都市の一角で小さな焼肉店を営む一家が、時代の波に翻弄されながらも力強く生きる姿を映し出す。出演は「さよなら渓谷」の真木よう子、「白ゆき姫殺人事件」の井上真央、「マンハント」の桜庭ななみ、「探偵はBARにいる」シリーズの大泉洋、「神弓 KAMIYUMI」の大谷亮平、「まんが島」の宇野祥平。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

高度経済成長期の真っ只中、万国博覧会が開催された1970年。関西の地方都市の一角で、小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む龍吉(キム・サンホ)と妻・英順(イ・ジョンウン)は、静花(真木よう子)、梨花(井上真央)、美花(桜庭ななみ)の三姉妹、一人息子の時生(大江晋平)と共に暮らしている。失くした故郷、戦争で奪われた左腕……。辛い過去は決して消えないが、毎日懸命に働き、家族はいつも明るく、些細なことで泣いたり笑ったりの日々。一方、店内は、静花の幼馴染で彼女に密かに思いを寄せる哲男(大泉洋)など、騒がしい常連客たちでいつも大賑わいだった。「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる……」それが龍吉のいつもの口癖だ。しかし、そんな強い絆で結ばれた「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せてくる……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2018年8月下旬号

読者の映画評:「空飛ぶタイヤ」田中敏巳/「焼肉ドラゴン」松本ひろみ/「虹色デイズ」保坂朱美

2018年7月下旬特別号

REVIEW 日本映画&外国映画:「焼肉ドラゴン」

2018年7月上旬号

「焼肉ドラゴン」:インタビュー 鄭義信[監督]

2018年6月下旬号

INTERVIEW 大泉洋:「焼肉ドラゴン」

UPCOMING 新作紹介:「焼肉ドラゴン」

2025/01/13

2025/01/13

35点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


朝ドラ・クオリティの茶番劇

中途採用で入った年下の上司がすっかり腐っている。一昨日ガス抜きのため我が家に呼んで焼肉をした。自他ともに認める私の仇敵であるキャンキャンうるさいお局がとにかく嫌いらしい。「私より100万高い年収はオバサンのお守り賃だと思って下さい」と改めて諭して(押し付けて)おいた。

三代続いた由緒正しき都人の私には感情移入しづらい世界観である。昔、会社の飲み会でホルモン焼へ行く度にお腹を壊していた記憶が甦った。本国・韓国でこのテーマが取り上げられることはないだろうし、自身も在日の出自を持つ鄭義信監督の集大成的なプライベート・フィルムと解釈したい。

群像劇とはいえ確たる軸がないため率直に言って退屈である。先述の通りテーマが遠いと言うか、とにかく繰り出されるエピソードの一つ一つが全く面白くなく観終えるのが苦痛だった。同じセットの中ばかりで画面に広がりがなく、間延びしたくどい演出にも茶番臭が漂う。社会派を狙った訳ではないだろうしエンタメ映画としては失格と言わざるを得ない。真木よう子の巨乳に+15点。

2024/12/26

2024/12/28

65点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 


分断の歴史

ネタバレ

岸信介が「侵略」と認めた半島への日本の罪深い行いを、この国の昨今の為政者は何もなかったようにときが過ぎるのを待つつもりのようだが、映画など文化面でこうした分断の歴史に導いた事実をしっかりと記録することの重要性を感じさせる映画。久しぶりに見てあらためて強く感動した。

ヤン・ヨンヒ監督の「スープとイデオロギー」であらためて知ることができた済州島の大虐殺がこの映画にも出てくる。南北戦争で混乱する中、同じ人民同士が虐殺される歴史が今やリゾート地として忘れ去られたような済州島に存在したことの痛みを感じる。この事件をきっかけに朝鮮半島から日本に流れて来た方も多いようだ。

キム・サンホ、イ・ジョンウンの両親があまりにも素晴らしくて、失礼ながら、今見るとほかの日本人俳優たちが霞んで見える。それほどまでにふたりの演技は突出していて、存在するだけで映画の価値が高まっている気がする。

音楽を多様せず、静かに長回しのショットで緊張感のあるシーンを演出しているのも好感が持てる。

最後に家族が別れてゆくシーンは、当時はきっとう想像もしなかった深い分断の歴史が始まることを印象付ける。

そして同じ民族による分断はいまも続いているのだ。

2024/06/15

2024/06/16

78点

テレビ/有料放送/WOWOW 


また観た

この映画の大泉洋がいい。

2018/07/14

2023/01/12

80点

映画館/群馬県/イオンシネマ高崎 


明日を信じられる…

イイな…

あの頃(60年代~70年代)はまだ『明日を信じられた』んだな…
キャストの皆さんが素敵すぎて…
お父ちゃんも
お母ちゃんも
三姉妹も
末っ子の弟くんも
お店の常連さんも…
哲男さんも…

戦争があって…という過去を持ちながら生きてきたお父ちゃんの思いが吐露されるシーンは、お父ちゃんが生きてきた時間の重さと、どれだけの苦労や苦闘を重ねてきたんだろうかと思い、何とも言えない気持ちに。

お店から立ち退かなきゃいけなくなった家族の
三姉妹共々の新生活ゆえの別離が、悲しいのではなく晴れやかな気持ちにさせてくれる。
もちろん、それぞれの生活に多大なる困難が待ち受けているのでしょう。
帰還事業だって、その後の流れを私たちはおぼろげながらにもわかっているからこそ…

それでも信じられた明日。

今、この家族のように『明日を信じられる』なんて心キレイに言えるのだろうか…

その事を悔しく思うくらいに素敵な家族の物語がありました。

2022/08/05

2022/08/06

75点

レンタル/千葉県 


在日家族の群像劇

本作は昭和44年~46年の大阪万博前後の伊丹空港近くの河川敷にできた朝鮮部落にホルモン焼きを生業とした朝鮮人と在日の一家の生活と離散を描く。
最初はその息子からの視点で部落に対する愛憎と一家の成り立ちを語られる。
一家の主人(父親)は、朝鮮人だが日本兵として徴用され太平洋戦争で片腕を無くした。日本敗戦後故郷の済州島に最初の妻と娘2人で帰国するが、四・三事件(本作では描かれていない)で妻や他の親族も殺され、娘2人を連れて日本にやって来る。
ここでやはり子連れの現在の妻と再婚し、息子が生まれる。
最初のエピソードは次女と同部落の幼馴染との結婚祝いの宴(もちろん自宅のホルモン屋)から始まる。ところが役所の係と夫が喧嘩して婚姻届けを破ってしまい、次女は激怒する。
後でわかることだが、男(哲夫)は長女と同級生?の幼馴染で、2人が子供の頃伊丹空港の前にあった米軍基地内に侵入して長女が足に後遺症の残るケガをしてしまった。
男はそれを負い目に感じながら大人になり、長女に求婚するが断られた。それからなぜ次女と結婚する結果になったのかは描かれていないが、哲夫はまだ長女に未練を残している。
哲夫はその部落では珍しい大学出らしいが、定職をもたずぶらぶらしており次女とは結婚後も不仲だ。
次女も夫が長女に未練を残していることをうすうすわかっており、ひょんなことで韓国から渡ってきたばかりの青年と浮気をして、その後も続いていく。
一方長女は自分の足のことを気にかけつい投げやりな気持ちになりがちだったが、家族の励ましで健気に店の手伝いをしていた。
韓国から渡ってきた別の男が長女に惚れ込み、婚約直前まで話は進むが、次女との結婚が破綻してきた哲夫は北朝鮮への渡航を決め、長女に一緒に北へ渡ってくれと必死に頼む。
結局、長女は婚約を破棄し、哲夫と北へ行くことを決める。
この時代北朝鮮は理想的なユートピアのように宣伝されていたこともあり、根深い差別の残る日本を離れる在日は多かった。
次女は哲夫と離婚し、韓国から来た男と再婚して韓国へ戻る際に一緒に行く。
この次女役を井上真央が熱演している。
三女はキャバレーの支配人でそこのオーナーの若い亭主と不倫関係にある。
この女オーナー役の根岸季衣がすごい迫力。
やがて不倫相手の男は離婚して、晴れて三女と結婚する。彼女のお腹には新しい命が宿っているのだった。
本作はこの3人の娘の色恋を中心に描かれていくが、時折長男のいじめによる不登校と折角進学校に受かった長男を励ます父親と退学させることを勧める母親との葛藤があり、結局精神を病んだ息子は自殺する。
この悲劇から立ち直ろうともがく夫婦の姿は感動的だ。
また三女の相手からのプロポーズを受けた父親の娘を任せる言葉の重みは涙モノだった。
家族のために身を粉にして働く親の姿を誰もとやかく言うことはできない。昭和であろうと令和であろうと変わりはないにだが。
現代において格差が広がる中でその美徳が変質しつつあるように感じるのは私だけであろうか?

2022/07/05

80点

選択しない 


在日コリアンたちの人情物語

舞台は伊丹空港近くの在日コリアンの部落だと思います。日本に統治されてから現在に至るまでの在日コリアンの悲哀を描いた作品でした。
この場所、関西ではデートスポットとして有名で夜の帳が下りると良いムードになるのですよね。しかし過去にこんな歴史があるとは全く知らなかったです。

この映画の特筆すべきところは、登場人物を在日一世と二世を使ってるところです。当然一世は戦争を体験してるし、戦後は日本に住んで差別を受けてきて人生を狂わされた実体験を重ねてきてます。
在日一世にあたる父親役には、韓国映画の名脇役のキム・サンホ氏を抜擢。キャスティングに思いっ切りがあり、見事にはまったと思いますね。
出演者たちの語学への努力ぶりも十分に伝わってきました。大泉洋さん、真木よう子さんらの韓国語の発音も、韓国に旅行するだけなら十分に通じるレベルでしたから。
キム・サンホ氏の日本語もそうで、相当勉強したのだなと感じました。

私は京都生まれの京都育ちです。場所柄から在日の友人もいるのですが、本作で描写されたような迫害は記憶にありません。でも差別に対する日本人の深層心理を大袈裟に描写したと言われれば完全否定も難しいとは思います。

本作の本質は、在日コリアンへの差別を描写するものではなく、在日コリアンというカテゴリーで生きる家族の物語であります。
恋愛、結婚、家族愛を描写したものです。少しストーリーが逸脱する部分もありましたが、北朝鮮への帰国や、伊丹空港近くにある部落地域の立ち退き問題など、報道や映画、読書で覚えのあるネタが盛り込まれていて、よく練られた話だと思いました。

同じ題材では「パッチギ」に次ぐ良い作品だと思います。日韓共同作品として、チェックしても悪くないはずです。