神山繁

|Shigeru Koyama| (出演)

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本名
出身地 広島県呉市
生年月日 1929年1月16日
没年月日 2017年1月3日

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広島県呉市の生まれ。1945年、海軍経理学校を卒業するが終戦で民間人となり、進駐軍の通訳、ノースウェスト航空勤務を経て、52年4月、文学座に演出部研究生として入所する。『欲望という名の電車』などの演出助手をつとめたのち、俳優に転向。『作者を探す六人の登場人物』『肥前風土記』『寂しき人々』『陽気な幽霊』などの文学座の舞台に多数出演する。映画初出演は文学座ユニットの今井正監督「にごりえ」53で、以後、松竹「悪女の季節」58、「ハイ・ティーン」59、「バナナ」60、「夕陽に赤い俺の顔」61、日活「男が命を賭ける時」59、「風に逆らう流れ者」61などに出演。三島由紀夫を射殺するチンピラに扮した大映「からっ風野郎」60や、主人公と相撃ちで死んでいくクールな殺し屋に扮した日活「ゆがんだ月」59、吉永小百合に迫る腹黒いクラブの経営者に扮した「黒い傷あとのブルース」61などで、従来の悪役とはひと味違う個性的な演技を披露し注目される。さらに日活「人間狩り」62の検事、「残酷な月」62の新聞記者、「黒の報告書」63の殺人を犯すサラリーマン、「黒の死球」63の殺人犯の教師、「仇討」64の主人公に斬られる武士などを好演して、次第に重きをなしていく。63年、芥川比呂志、小池朝雄、仲谷昇、岸田今日子らとともに文学座を脱退し、劇作家・福田恒存を代表とする現代演劇協会の劇団雲の設立に参加する。雲では『夏の夜の夢』『リア王』『コリオレイナス』『テムペスト』などのシェイクスピア劇を中心に活躍。テレビドラマにも進出し、65年スタートのTBS『ザ・ガードマン』へのレギュラー出演によって広く知られるようになる。それに伴い、映画も準主演作、あるいはそれに匹敵するような大きな役を与えられ、小林正樹監督「上意討ち・拝領妻始末」67の冷徹な側門人・高山外記、岡本喜八監督「日本のいちばん長い日」67の加藤総務局長、「斬る」68の野心的な次席家老・鮎沢、堀川弘通監督「激動の昭和史・軍閥」70の近衛文麿などで印象を残す。70年代は、山本薩夫監督「金環蝕」75、「不毛地帯」76、森谷司郎監督「八甲田山」77、市川崑監督「女王蜂」78など大作の常連俳優となるが、75年、福田と芥川の対立が決定的になり、芥川と行動をともにして演劇集団“円”の設立に参加。円では、舞台『ママに捧げる鎮魂歌』78、『山の巨人たち』82、『ほんとうのハウンド警部』87で演出も手がけている。以後も、冷徹な官僚や弁護士、政治家、時代劇での家老など知的な権力者などを多く演じ、娯楽作から文芸作、大作から小品までバラエティに富んだ映画にコンスタントに出演を重ねる。近年は、本広克行監督「踊る大捜査線 THE MOVIE」98・03での、プライベートでも親交の厚かったいかりや長介演じる老刑事と友情で結ばれた吉田警視庁副総監、栗山富夫監督「ホーム・スイートホーム」00での徘徊痴呆老人、中村幻児監督「ロード'88・出会い路、四国へ」04での老遍路、若松節朗監督「沈まぬ太陽」09での国民航空社長、石原興監督「獄(ひとや)に咲く花」10での吉田松陰に和歌を教える吉村などが目立つ。テレビドラマはほかに、日本テレビ『細うで繁盛記』70、『横浜心中』94、『課長島耕作』08、NHK『黄金の日日』78、『獅子の時代』80、『おんな太閤記』81、『独眼流正宗』87、『翔ぶが如く』90、『葵・徳川三代』00、『天地人』09、『隠密秘帖』11、TBS『父母の誤算』81、『週末婚』99、テレビ朝日『ベイシティ刑事』87、『落日燃ゆ』09、フジテレビ『妹よ』94、『CHANGE』08や、各局の2時間サスペンスなど多数。文学座から劇団雲、演劇集団円と行動をともにしてきた女優の文野朋子と結婚し、演劇界のおしどり夫婦として知られたが、文野は87年7月19日に脳内出血のため死去した。2017年1月3日、肺炎のため死去。享年87歳。

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