第1夜。ある初秋の日曜の夜、ジャック(G・D・フォレ)は、ポン・ヌフの橋からセーヌ河に身投げしようとしている少女マルト(I・ヴェンガルテン)を救った。第2夜。同所で再会した2人は、互いの身の上を語り合う。ジャックは、元美術学校の学生で今は自宅にこもって画を描いており、マルトは母と2人暮しで隣室を学生に間借りさせている。1年前マルトは、その部屋を借りている青年(J・M・モノワイエ)に恋する。が、青年はアメリカへ留学に行き、1年後にポン・ヌフの橋の上でマルトとの再会を約束した。そして彼女は今日で3日目、青年が3日前にパリに帰ってきているのを知りつつ、待っている。第3夜。青年の影にさえぎられながら、ジャックとマルトの不安な心のうずく夜がすぎていく。第4夜。約束の時が来ても、ついに青年は現われなかった。苦しむマルト。そして愛を告白するジャック。2人はパリの夜を、美しい月夜の下を幸福にさすらう。だが、突然、マルトの目が一点にとまった。そう、それは、彼女がさがし求めていたあの青年の姿だったのだ--。