1945年5月8日、ポーランドの地方都市。街のはずれの教会のそばに、二人の男が待ち伏せていた。党地区委員長シュチューカを殺すためだ。見張りが車の接近を叫んだ。銃撃。車の男達は惨殺された。しかしそれは人違いで、シュチューカの車は遅れて着いた。《こんな殺人がいつまで続くのか》通りがかりの労働者達は彼に詰問した。--夕方、街の放送塔がドイツの降伏を告げた。市長主催の戦勝祝賀会のあるホテルで、殺人者達は落ち合う。見張りの男は市長秘書だった。二人の男、アンジェイ(アダム・パウリコフスキー)と若いマチェク(ズビグニエフ・チブルスキー)がそのホテルへやって来た。彼等はロンドン派の抵抗組織へ入り、独軍と戦った。解放後は市長やワーガ少佐の指令で反党地下運動に従う。シュチューカが部下とホテルに現れ、マチェクは始めて誤殺に気づく。彼はシュチューカの隣りに部屋をとった。向かいの家には誤殺した男の許婚と思われる女がいた。ホテルのバーには美しい給仕クリスティーナ(エヴァ・クジイジェフスカ)がいた。アンジェイは少佐に呼ばれ、暗殺の強行を命ぜられる。ソビエトから帰国早々のシュチューカは息子が心配で、死んだ妻の姉を訪ねる。そこにはワーガ少佐が隠れ住んでいた。引取られた息子はワルシャワ蜂起以後、生死不明だった。一方、ホテルのホールでは歌が始まり、誰もいないバーでマチェクとアンジェイはグラスの酒に火をつけ、死んだ仲間を悼んだ。アンジェイは朝四時に任務でワルシャワへ発つ。《それまでに殺す。連れてってくれ》マチェクはアンジェイと約束した。彼はクリスティーナに《今晩十時、部屋で待つ》と誘うが相手にされない。市長秘書は酒飲みの新聞記者の老人にささやかれた、《市長が新政府の大臣になる》出世の機会だ。ついつい老人と盃を重ねてしまう。宴会場には市長も到着した。そんな時マチェクの部屋の戸が叩かれた。クリスティーナだ。《貴方なら後腐れがないから来たの》女は話す、両親は戦争中死んだと。市長秘書は泥酔し、老記者を連れ宴会場へ押入った。マチェクは女と時を過す。いつしか二人は愛し合っていた。マチェクはいつも離さぬ黒眼鏡のことを話す。ワルシャワの地下水道にいたのだ。二人は外へ出る。雨が降りだし、教会の廃墟に雨宿りした。女は墓碑銘を読む。《……君は知らぬ、燃え尽きた灰の底に、ダイヤモンドがひそむことを……》ノルヴィッドの詩だ。マチェクは強く望む。普通の生活がしたい!死体置場には今日殺した二人の死体があった--。保安隊が反党派の残党を捕えた。その中の不敵な少年はシュチューカの息子だった。マチェクはホテルの裏で女と別れるが、アンジェイを見かけ、思わず便所へ隠れた。《裏切って女と逃げるのか》アンジェイはいう《そんなら俺がやる》--マチェクはシチューカ暗殺を引受けてしまう。宴会場では市長秘書が消火器の液をまき散らし市長から見放された。マチェクは息子に会いに行くシュチューカの後をつける。ふりむきざま、乱射した。相手の体がマチェクに覆いかぶさってきたその時、祝賀花火が一斉に揚った。--夜明け、マチェクは荷物をまとめ、クリスティーナに別れを告げた。《行ってしまうの?》宴会の流れはまだ続いている。マチェクは同志の出発を物陰で見た。アンジェイからも見放された市長秘書が、マチェクにすがろうとする。逃げるマチェクは保安隊にぶつかった。追われ、撃たれた。ホテルでは市長や伯爵や大佐夫人達が亡霊のようにポロネーズを踊っていた。クリスティーナは立ちつくしている、涙を流して。マチェクはいつか町はずれのゴミ捨場を獣のようにうめき、笑いながら、よろめきはっていた。ボロ屑の中で、最後のケイレンがくる。汽車の響きが遠ざかった。