十六世紀、スエーデンの片田舎。ヴェンゲ集落の豪農の一人娘カリン(ビルギッタ・ペテルソン)は、養女インゲリ(グンネル・リンドブロム)を連れて教会にローソクを捧げに行くことになった。下女代りのインゲリは父なし子を宿してい、美しい世間知らずのカリンを嫉妬していた。二人は信心深い母メレータ(ビルギッタ・ヴァルベルイ)と父テーレ(マックス・フォン・シドー)に見送られ馬に乗って出発した。教会までの道は長かった。小川の小屋にさしかかり、インゲリはここで待つといいだした。一人先を急ぐカリンは、途中でオシとヤセッポと少年の三人の羊飼いに会った。彼らはカリンに食事する場所に案内するといった。一方、インゲリは小屋で気味の悪い老人を逃がれてカリンの後を追った。オシのカリンをみつめる目がしだいに変った。身の危険を感じた彼女が馬に乗ろうとすると、ヤセッポが邪魔をした。大声をあげようとした時、オシとヤセッポが彼女を襲いオシが犯した。--よろめきながら立ちあがるカリンを、オシが後から殴り殺した。これを目撃していたインゲリは、恐ろしさのあまり声も出なかった。--その日の夕暮、例の三人がテーレの家に夕飯を無心にやってきた。テーレは三人に食事を与えた。少年はカリンと同じお祈りに驚いた。テーレ家の人々はカリンの帰宅が遅いので心配していた。食事が済んだ。ヤセッポがカリンから強奪した衣服をメレータに買ってくれと頼んだ。すべてを察した彼女は夫に告げた。怒りにふるえるテーレは三人を殺す決意をした。不意をつかれた男たちは死んだ。あどけない少年までも。復讐したテーレは罪の深さにおののいた。片隅に隠れていたインゲリを案内に、家中で現場に急いだ。無惨に変りはてたカリンをみて、人々は呆ぜんとした。テーレは復讐の罪の償いに、ここに教会を建てると誓った。テーレがカリンを抱きあげると、不思議なことに泉がこんこんと湧き出した。--後世の多くの人々がこの地に建てられた教会に訪れたという。