ロングフェロウ・ディーズはヴァーモント州のマンドレイク・フォールスという小さい町で脂油向上を経営していたが、彼の収入は絵葉書に優しい詩を書いて得る金の方が多かった。彼は町のブラス・バンドのチューバ吹きで、考え事をする時には必ずチューバを吹くのがくせだった。ところが彼の亡き母の兄にあたる大富豪マーチン・センプルが自動車事故で惨死したので、ディーズは遺産2千万ドルを貰ってセンプル邸の主人となった。新聞社では彼をインタビューしようとしたが、面会謝絶で会えない。ディーズはいろんなタカリ屋が押しかけて来るので新聞記者に会うひまはなかった。センプル老人の法律顧問で委任権を得ていた弁護士ジュン・シーダーは約50万ドルを横領していたので、ディーズからも委任権を得てごまかそうと努力したがディーズはシーダーの腹黒さに疑いの目を持って保留した。モーニング・スター社の女記者ベーブ・ベネットは何とかして記事をとろうと、散歩に出かけたディーズの目前で舗道に行き倒れを装って近付きとなった。ディーズはこのメリー・ドースンことベーブ・ベネットを新聞記者とは知らず、夢想の「悩める女性」だと思い込み愛を感じた。このためにモーニング・スター誌上にはディーズを皮肉った特ダネ記事がでたが、彼はあいからわずベーブとつきあった。そしてついに彼女に結婚を申し込んだ。あまりの人の良さに何時しか心をひかれたベーブは新聞社を辞職してディーズにすべてを告白しようとする。しかしディーズは告白を聞く前に彼女の素性を知りいたく失望する。そして全財産を失業農夫2千名に分けあたえる計画に着手した。センプル老人の甥にあたるセンプル夫妻はシーダーと結託して、ディーズを狂人だと言い立てて、彼から財産を横領すべく企てて提訴した。かくてディーズが狂人であるか否かを決定する審問が開かれたが、失恋したディーズは自暴自棄で、シーダー弁護士の有力な証拠提出にも全然弁護しなかった。このために彼は狂人として禁治産となり、病院に収容されそうな形勢となる。いまはディーズに深くも思いを寄せているベーブは、見るに忍びずディーズを弁護する。彼女の愛を知り得たディーズも、終いにシーダーが提出した狂人なりとする証拠を一々撃破し、裁判長はディーズの正気を言い渡した。かくてディーズは愛するベーブをその胸に抱くのだった。