夫ジークフリードを殺したハーゲン・トロニエに復讐を誓ったクリームヒルトは、日夜機の到るを待っていた。フン族の王アッティラは武将ルディガー伯をクリームヒルトの兄グンター王の許に遣わし、クリームヒルトを妻に欲しいと申込んだ。クリームヒルトの心は既に夫ジークフリードの死と共に死んでいたが、復讐を遂げる手段として、彼女はアッティラの妻となることを承諾する。程なく二人の間には男の子が生れた。喜んだアッティラ王は何なりと望みを云うようにとクリームヒルトに申出た。兄達を王の城に招いてくれ--それがクリームヒルトの望みであった。彼女は仇敵ハーゲンが必ず兄達と共に来る事を知っていた。グンター王一行を歓迎する盛大な宴が開かれた時、クリームヒルトの命を受けたフン族はブルグント軍を襲った。ハーゲンは幼なきアッティラ王の子息を手にかけたので、今迄平和を望んでいたアッティラは激怒し我が居城に立て篭るブルグントの一族との間に猛烈な戦端を開く。アッティラ王の命で城に火が放たれた。ギュンター王の軍勢は炎のうちに全滅したが、ハーゲンは最後までグンター王を護っていた。居残った二人がクリームヒルトの前に引出された時、クリームヒルトはハーゲンの盗んだニーベルングの宝物の在所を聞いたが、ハーゲンは王の命あらん限り口外せぬと嘲う。クリームヒルトは兄グンター王を殺したが、ハーゲンは尚も口を緘して宝の在所を云わなかった。クリームヒルトは彼がジークフリードから奪ったバルムンクの剣を揮ってハーゲンを斃し、亡夫の血が浸込んだ土にハーゲンの血を吸わせた。クリームヒルトはかくして復讐を遂げ亡夫の跡を追って世を去り、アッティラは彼女の死骸を抱いて果敢なき運命を嘆いた。