1976年の大晦日。雪に覆われたイピロス山中で、狩りに出た6人の男たちは、四半世紀も前の内戦で死んだゲリラの兵士の死体を発見する。今死んだばかりのような暖かい血が流れる死体を抱え、湖畔のホテル“栄光館”に戻って思案する狩人たちは、出版社社長で元知事のパパヨルギウ(イリアス・スタマティオス)、実業家ヤニス・ディアマンティス(ヨルゴス・ダニス)、退役大佐(ニコス・クウロス)、老政治家(クリストフォロス・ネゼル)、ホテルの主人サバス(ヴァンゲリス・カザン)、そしてサバスの義弟のファンダキス(ストラトス・パキス)。死体の処理はサバスに任され、彼は電話で憲兵を呼ぶ。これまでの人生を回想する6人の狩人たち・・・。米軍駐留の最中、ゲリラを告発することによってホテルのオーナーになったサバス。ヤニスは1958年の選挙管理委員長だった。左翼が投票できぬよう工作していたが、従兄弟のコミュニスト・ヤニスが投票に立ち上がったのをきっかけに、左翼から80人も当選した。ファンタギスは、コミュニストのヤニスとは牢獄時代の仲間だった。63年右翼のテロによってヤニスは殺された。64年離党後、再び投獄されたファンタギスは、自分が密告者であると自白する手紙に署名して仮釈放された。大佐の回想・・・。67年、左翼民主同盟の集会を、大佐率いる一隊が襲撃した。広場で整列する若い兵士たちが歌う『銃と剣と勇気』の歌が、そのまま現代の栄光館のホールへ歌いつがれる。湖を、赤い旗を掲げた舟の群れの人々が、『愛の血が男を紫色に染めた』を歌いながら幻のように去る。発狂したファンダキスはゲリラ兵士の死体に話しかける。招待客が到着し、新年が訪れる。過去に別れを告げる『蛍の光』。いつしか狩人たち男女だけが踊っているホールに兵士の一群が乱入してくる。幕の奥から死体の兵士も起きあがる。兵士たちは、狩人たちに死刑を宣告し、銃殺する・・・。悪夢だった。イピロス山中、重い足どりで兵士の死体を抱えて来て、雪に埋める狩人たちは、再び狩りを始めるのだった。