生まれて間もなく片目片腕を失った我王は、生きるためには人殺しも辞さない人間となり村を追われた。鳳凰を探し求めて全国を旅する大和の彫物師・茜丸は、逃亡中の我王と出会い大切な右腕を斬られてしまう。盗賊の頭となった我王は、ある日、美しい娘・速魚を強引に妻にした。鼻が異様に腫れ上がる奇病にとりつかれた我王を看病する速魚。だが、部下の言葉で誤解した我王は速魚を斬り殺してしまう。速魚はてんとう虫に姿を変え、我王は彼女がかつて自分が助けた虫の化身だったと気づくのだった。一方、必死の修行の末、彫物師としての腕を取り戻し、鳳凰を求めて旅する茜丸はブチという少女と出会う。そんな時、茜丸に大仏建立の命が下り、都の役人がやって来る。茜丸を連れていかせまいと抵抗したブチは、役人に殺された。大仏殿は完成し、茜丸は天皇に献上するための彫物を乞食僧と競い合って作ることになった。乞食僧とは生まれ変わった我王だった。二人が提出した作品は同じ鳳凰像で、我王の像がすぐれていたが、地位と名声に目がくらんでいる茜丸は、かつての出来事を持ち出した。役人に右腕を斬られた我王は都を追放される。ある日、火事が起こり、茜丸の作った鳳凰像は燃えてしまう。駆けつけた茜丸の前に火の鳥が現われ、彼がもうじき死んで魚に生まれ変わること、それが宿命だと告げた。