ミヨシ電飾に働く沢村シン子のもとに、ベトナムからの密航少年ミンがたずねてきたが、その日は生憎シン子が会社を休んでいる日だった。ミンは日本到着直前に、潜んでいた船の船員に発見され、シン子の友達で船員をしている楠見と知り合ったのがきっかけでシン子をたずねてきたのだ。楠見の連絡を受けたシン子は、一晩中町を捜し歩いたがとうとう見つからないままミンは警察に捕まってしまった。日本人を父に持つミンは、父のお骨を生れ故郷に埋めるという目的を果たせぬまま留置されたが、シン子に好意を寄せる服部部長から借りた三十万円の保証金で十日間の仮放免が与えられた。定時制高校に通うシン子の弟健一は、ミンを通じて、ある年齢が来たら戦争に狩出されてしまうベトナム青年の悲惨を知り、ミンを救うべく力を尽くした。シン子とミンと健一は、ミンの父の故郷をたずねるが、戦時中敵前逃亡という罪を犯したということで冷たく追い払われた。ミンに残さた時間も残り少なくなり、何もできない健一は焦り、ミンと共に国外逃亡を計った。網走からソ連に渡ろうと北海道に向ったが、途中で捕えられた。そして工場をクビになった健一は、そのまま姿を消してしまった。一方、シン子の父兵太郎は会社の仲間たちの助力を得て金策に奔走したが、力つきて急死してしまった。いよいよミンが本国に強制送還される日、桟橋には楠見とシン子の姿があった。そしてどこからともなく姿を現わした健一を二人の刑事が追いかけていった。