高校生の山田光と相川一郎は仲が良い。そして成績も二人とも仲良く同じ位によくない。一郎の家は銀座の“愛川”という料理屋で、父の一作は職人気質でお人好しであり、母のお紋も亭主と同じ。だから一郎の監督は姉の美加子だ。彼女は“愛川”の看板娘。ふるほどの縁談に耳もかさず、一郎の監督に一生懸命だ。美加子は成績不良の原因は友達が悪いんだと思いこんでいる。横浜にある光の家でも同様だ。秀才でハンサムな大学院生の兄正と、婆やが口うるさく友達が悪いと説教している。父の良平はヤモメで、ある会社の専務をしている。すべてに鷹揚で話がわかる人物だ。兄の正は、ある日、友人の広瀬道子に一方的に求婚され、彼女の一人合点を納得させようと愛川ののれんをくぐった。一つには弟の友達の家を偵察する目的もあった。ところが、美人の美加子を見た途端に一目惚れして道子を怒らせ、彼女にビールを浴びせられる醜態をみせてしまった。数日後、一郎の成績不良のことで、美加子が学校へ呼び出された時、同じく呼びだされた正とバッタリ、一郎の友達の兄だと知らされて益々心証を悪くしてしまった。正は愛川を訪れて美加子と話あおうとしたが、遇々父の良平が愛人の清子をつれてきていて、よくよく親子揃ってろくでなしだと美加子に思われてしまった。その後間もなく、光が一郎の家に泊まると家へ電話してきた時、美加子に対する意地から正は、絶対に帰れと厳命した。ところが一郎の家を出た光は、翌日になっても家に帰らず大騒ぎとなった。美加子も一郎と一緒に初めて横浜へやって来た。そんな騒ぎの最中に熱海の旅館にいた清子から、光がこららに来ていると電話がかかって来た。良平はちょうど学校が休みだという一郎を連れて熱海へ。正は美加子を送って銀座へ出た。車の中で正の肩にもたれて眠ってしまった彼女は、家へ帰らても照れ臭いのか、父の一作が正をまるで婿みたいに歓待するのを突ッけんどにあしらうのだった。しかし、心の中では、正にだんだん惹かれてゆく自分を一生懸命おさえているのだ。そこへ熱海の良平から皆でこれから京都へ遊びに行くという電話があった。正も後を追って出かけた。美加子は正が忘れていったライターを届けることを理由に京都に向った。一作やお紋は年末の多忙さにもかまわず、そんな娘を喜んで出してやった。大晦日の夜。智恩院の境内を肩を寄せあって歩く正と美加子の心からは、反撥も誤解も除夜の鐘と共に消え、優しい恋のムードの中に新しい年を迎えるのだった--。