陽子は姉の直美に夢の途中で起された。素晴しき男性の夢だったのに。踊子の彼女はその朝のレッスンに遅刻し、舞台監督の団にひどくシボられた。彼は通称をウルサ型という。陽子はその夜夢に出てきた男性そっくりの青年実業家・土屋秀男を友人・美貴子から紹介された。別れるときさっそくプロポーズされたのだ。姉は金持の坊ちゃんは警戒した方がいいといった。彼女は彫刻家の夫・佃の療養費をかせいでいる。しかし、陽子は翌日土屋家を訪問するほど乗り気である。しかし、土屋父母のしつこい身許調べにホウホウのていで逃げだす。秀夫の妹麗子は恋人の音楽家・吉村がいたが母親は十条という元華族へ嫁入りさせようとしていた。陽子は団たちと義兄の見舞いもかねて高原へドライブした。同僚のルミ子と牧はかねてから恋人同士だったが、このとき結婚を宣言した。陽子は麗子から訪問され、弟が好きなら助けるという申し出を受けた。麗子は弟の結婚に反対する母親をなだめ、その代りに十条家に嫁ぐと約束し、吉村を呼び出すと別離を告げた。陽子は秀男と婚約し、退団届を出しに行った時、かのウルサ型が秀夫の兄・武男とはじめて知った。この土屋家の長男は家を離れて好きな道に飛びこんでいたのだ。「君が好きだったんだが、おそすぎたかな」と武男はいつもに似合わずショゲタのである。麗子の結婚披露パーティの席上、彼は得意のサックスを吹いた。その音はなぜか陽子の心にしみいるようだった。ミュージカルものの製作と演出が、武男にきめられ、皆は喜ぶ。麗子は夫の放蕩にあきれ吉村を求めて家に帰った。佃も全快して帰ってき、直美とむつまじい。麗子は貧しくても愛があればと陽子に教えた。婚約発表の直前陽子は土屋の父に真実を告白した。こうして、武男・陽子夫妻の演出・出演のミージカルがメトロ劇場の舞台に展開された。