--南国の海岸に水死体が漂着した。その傷痕ある死顔が、ひどく海女のサダを驚かした。刑事が東京から到着した。男はかねて指名手配中の凶悪犯だった。周囲の状況から自殺と断定された。一人、老練刑事丸山は反対していた。--サダは恋人の五郎や妹の和枝に隠して東京の青線で働いて帰ってきたのだ。それを追って馴染みの男・あの凶悪犯がやってきた。彼女は金に困っていた吉崎という男に金をやって殺させたのだ。吉崎はすぐ北海道の漁場へ行く約束だったが、彼女につきまとい、金や肉体を求めるようになった。サダは秘密をかかえて、五郎との挙式の日を待った。が、吉崎は酒におぼれ、彼女の秘密を口走るようになった。五郎の漁場を狙っていた宮田がその秘密を知った。彼は吉崎殺害の役を買って出、その交換条件にサダが結婚したら五郎の漁場を渡すことにしようと云った。サダは五郎にそのことを打診したが、逆に激しく責められた。和枝が恋仲の記者・君塚と結婚すると云ってきた。追いつめられていたサダは即座に反対した。和枝は姉をうらみ、吉崎から聞かされたサダのことを言い、姉を責めた。サダは誰からも見捨てられたと思った。--丸山刑事は水死体の男の青線の馴染み女を探していた。その女は耳のうしろに赤いアザがある。ミス海女コンクールに出場して優勝したサダを丸山が見つめていた。サダはその足で五郎のもとへ急いだ。が、五郎はすべてを知って、彼女を相手にしなかった。サダはすべてをあきらめ、船で宮田のもとへ向った。和枝の頼みで、五郎があとを追った。宮田は彼を襲い五郎は海中へ落ちた。和枝に宮田が襲いかかったとき、サダはドスを持って彼をさえぎった。もつれた二人が倒れ、動かなくなった。血だらけだった。サダも死んだのである。--彼女の墓が海の見える丘に建てられた。五郎・和枝・丸山らの手で。