二世の藤川太郎はカリフォルニアの田舎町の百姓だ。花嫁探しに日本へ帰った。同じ目的の青年二人が連れだった。羽田では花嫁探しを引受けた日米旅行社の支社長が出迎えた。花嫁探しの期間は一カ月だ。太郎の花嫁候補は三人いる。大阪と広島と名古屋に住む。旅行社の石川君子(ファニイ・フェイスだ)が太郎を案内した。大阪へ向う車中で、太郎は君子に約束させた、--相手の批評をきかすことを。大阪の山部ミエコはレビュー・ガールだ。四、五回文通をした。君子は彼女を賞めた。太郎は一ぺんに参った。が、皆で奈良へ行った時、春日神社の境内で、君子に逃げられた、--太郎が母親を大事にしてくれといったので。“アメリカまで行って姑に仕えるなんて真平やわ”。君子は太郎を広島へ案内した。谷口初江は製塩業者の娘だ。父徳兵衛は初江と代償に、太郎に借金を申込むつもりだった。このところ事業が不振なのだ。おとなしい初江に、太郎は“理想の女神”を見たという。ボーッとし、自分の農園が借地で、生活は楽でないなどと、ありのままをしゃべったのだ。徳兵衛は早速、縁談をひっこめた。初江は従順だった。また失敗した太郎はさすがにガックリきた。君子は名古屋の芦谷みどりにあわせる。このへそまがりのオールド・ミスは太郎を同僚たちの席に連れて行き、彼を盛んにカラカッたのだ。君子は怒り、太郎をひっぱって席を立った。こうして、太郎の花嫁探しは全部失敗した。君子は彼を可哀そうにおもった。東京に帰ると、他の青年は花嫁を連れてきていた。気晴しのために、君子は太郎を夜の銀座に案内した。ダンスをしていると、グレン隊がカランデきた。太郎は意外にも猛烈な働きを示した。君子は見とれた。帰国の前夜、彼女は父と二人の家へ太郎を招待した。もてなしが、太郎を喜ばせたが、その帰途、二人は結ばれたのだ。翌日、羽田に君子の姿がなかった。彼女は家で思い悩んでいた。太郎を愛していたが、父を残す気にはなれなかったのだ。父はそんな心配はいらぬと元気づけた。君子は羽田へ車を飛ばした。彼女の姿を認めた時、太郎は出発直前の飛行機から飛び降り、二人はかたく抱きあったのだ。