昭和十八年十二月下旬のある日、大曾根家では、悠子の婚約者実成明の出征を祝って和やかな雰囲気に包まれていた。その夜長男一郎は思想犯として突然検挙され、叔父大曾根一誠は悠子の気持ちも察せず実成との婚約を破棄する。悲嘆にくれる大曾根家に更に画家を志す次男泰二は召集を受け、絵に対する熱情を断ち切れず出発する。空襲により焼け出された叔父夫婦は大曾根家に移りわがもの顔に一家の上に君臨する。その頃前線にある実成から次男泰二が戦病死した報せがもたらされる。三男隆は海軍予備学生を志願し母の許可を求めるが叔父は房子にかまわず無造作に許してしまう。あまつさへ叔父は自分の地位のため悠子を無理矢理に軍需会社の社長の息子との縁組みを強要するのだった。八月十四日の深夜、房子は隆が元気で帰って来た夢を見、特攻隊へ廻ったという隆の戦死を予感する。情報で早くも終戦を知った叔父は部下を督励して米俵をはじめ軍需物資を大量に家に持ち込む。房子は叔父の態度をなじり口論の末、叔父達に家から立ち退きを要求する。復員した実成と悠子は再び結ばれ、マッカーサー司令部の計らいで政治犯釈放により長男一郎は青天白日の身となり大曾根家は再び平和の姿を取り戻すのであった。