銀行破りの三人組が北アルプスに逃げ込んだ。三人があてどもなく雪渓を行くうち、その一人高杉は雪崩に巻き込まれて姿を消す。残った二人、野尻と江島は小さな盆地に辿り着き、雪に埋れた山小屋を発見した。その小屋には老人とその孫の少女と、本田という登山家が楽しい生活をしていた。野尻は三人の暖かな人間的な愛情に心を動かされたが、江島は世間の全てに反抗するようにますます荒々しくなっていった。翌日の夜半、山の案内を強要された本田を先頭に三人は凍りついた月の雪渓を登ってゆく。途中江島が足を踏み外したため野尻まで滑り落ちて本田は全身の力で二人の重みを支えたが、腕にザイルを巻き付けたまま自由を失ってしまった。やっと岩登りをして二人は本田のところまできたが、本田のことで争いが始まり、その結果江島は命を失ってしまう。仲間の二人までをこの世から奪い去った自然の偉大さの前に決心した野尻は静かな足どりで山を降りて行く。