大手保険会社の外交員の佐々木京は、昇進まで後一歩というところで営業成績が伸び悩んでいた。ある日、新規の契約開拓のために飛び込んだビルで、京は美貌の青年と出会う。若くして外資系企業の上級管理職の座にある藤原美鶴というその青年は、不思議なオーラと怪しい香りを身にまとっていた。謎の多い美鶴に、京は警戒しつつも魅了されていく。美鶴と出会った日から、京の周りには奇怪な出来事が起きるようになっていた。いつも正体不明の女の影がつきまとい、無言電話もひっきりなしにかかってきていた。美鶴とたびたび会うようになった京は、怪しい言葉の誘惑に怯えながらも、次第に逆らえなくなっていく自分に気づいていた。どうやら美鶴に近づく女たちはみんな彼を愛し、かしづかずにはいられなくなるらしい。京の友人でライバル会社の外交員の礼子も、美鶴に出会った日から彼の奴隷のようになっていた。美鶴のデータを調べた京は、彼が妻の死によって多額の保険金を受け取っていたことを知る。京はかつて会社にいた阿部に当時のことを尋ねるが、阿部も美鶴の名前を記憶しているだけで詳しいことは覚えていなかった。美鶴の身辺調査を始めた阿部は報告書だけを残して、京の目の前で謎の死を遂げた。調査を引き継いだ京は、あるフェロモンを分泌する寄生虫が美鶴の秘密にかかわっているらしいことを知る。美鶴の家に侵入した京は、彼と彼に寄生していた謎の生物を殺し、元の日常へ戻っていった。それからしばらくして、男性社員をはべらせたオフィスの奥に、かつての美鶴のようにオーラをふりまく京の姿があった。