1960年代、アメリカの片田舎。チェコからやってきたセルマ(ビョーク)は、女手一つで息子ジーン(ヴラディカ・コスティク)を育てながら工場で働いている。セルマは遺伝性の病気のため視力を失いつつあり、ジーンも手術を受けないと同じ運命をたどるのだが、それを秘密にしつつ、手術費用をこつこつ貯めていた。彼女の生きがいはミュージカル。アマチュア劇団で稽古をしたり、仕事帰りに友人のキャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)とハリウッドのミュージカル映画を観ることを唯一の楽しみとしていた。しかしセルマの視力は日増しに弱くなり、ついには仕事のミスが重なり工場をクビに。しかもジーンの手術代として貯めていた金を、親切にしてくれていたはずの警察官ビル(デイヴィッド・モース)に盗まれてしまう。セルマはビルに金を返すように迫り、もみ合っているうちに拳銃でビルが死んでしまった。やがてセルマは殺人犯として逮捕され、裁判にかけられる。しかしセルマはジーンを守るため、またビルが妻に内緒で破産していたという秘密を隠し通すため、法廷でも真実を語ろうとはしない。そしてジーンが目の手術を無事受けることだけを願いつつ、自分は絞首台で死んでいくのであった。