深い山間の湖に浮かぶ小さな庵。穏やかに年月を過ごす幼子と、彼を見守る老僧(オ・ヨンス)が二人で暮らしている。無邪気な子供が成長し、少年から青年、中年そして壮年期へといたる波瀾に富んだ人生の旅程が、水上の庵の美しい季節のなかに描かれる…。万物が息づく春。森のなかで小さな蛙と蛇、そして魚に小石を結びつけるいたずらにふけりながら、天真爛漫な笑い声をあげる好奇心旺盛な幼子(キム・ジョンホ)。その姿を見守っていた老僧は、彼が寝ているすきに背中に石を背負わせる。目覚めた子供が泣きながら石をはずしてくれと哀願するや、老僧は予言する。「その一匹でも命がなかったら、一生その石が業となってお前を苦しめるだろう」と。子供が成長し17歳になったとき、同い年の少女(ハ・ヨジン)が養生のために山寺にやって来る。少年僧(ソ・ジェギョン)の胸に少女への熱い想いが湧き上がる。老僧もふたりの恋に気づく。少女が立ち去った後、ますます募る恋の執着から逃れられない少年は、山寺から出奔する…。寺を出奔してから十数年ぶりに、男(キム・ヨンミン)は帰って来る。自分を裏切った妻を殺した殺人犯として。男は紅葉のように真っ赤に燃えたぎる自分の怒りと苦しみに堪えきれず、仏像の前で死のうとする。そんな男を無慈悲に打ちすえる老僧。寺の床一面に経文を書いた老僧は、その一つ一つの文字を彫れと、男に命じる。そうやって心を落ち着かせるのだ、と。捜索にきた刑事に連れ去られて男が寺を去ると、自らの死期を悟った老僧は自分の体に火をつけて、ひとりこの世を去る…。刑務所を出所し、すっかり廃墟となった庵を再訪する男(キム・ギドク)。老僧の遺骨を拾い、氷に仏像を彫り、山寺の中で心身を鍛錬しつつ心を空っぽにして、安らぎを得ようと日々を過ごす。ある日、顔をスカーフで覆った名も知らぬ女性が寺を訪れ、赤子を置いたままひとり寺をあとにする。赤子は母の姿を追い求め、氷の湖上を這っていく。男は体に石臼をくくりつけ、降りしきる雪の中、菩薩像をかかえて山を登る。まるで、幼子の頃の自らの小さな罪を償うかのように。。