1960年代後半のアイルランド。市民運動、映画、ロックなど、これまで保たれていた伝統やタブーが打ち破られようとしていた。北アイルランドに隣接する南部の町タイリーリンで、パトリック・ブレイデン(キリアン・マーフィー)は生まれた。両親は、教区司祭リーアム神父(リーアム・ニーソン)と若い家政婦エイリー・バーギンだ。しかし望んでもいない子供を生んだことにエイリーは精神的なショックを受け、神父の家の玄関口に乳飲み子を捨て、町から姿を消す。神父は罪の意識に苛まれながら、近所のブレイデン家にパトリックを委ねる。数年後、愛らしい子供に成長したパトリックは、綺麗なものに惹かれ、女物の服を盗んで身に着けるようになる。小さな町で女装癖の噂はたちまち広がり、パトリックは変わり者のレッテルが貼られてしまう。間もなく実の両親について真実を知ったパトリックは、実の母への思慕を募らせていく。美しく中性的な青年に成長したパトリックは、“キトゥン”と名乗り、以前より考えていた母親探しの旅に出る。旅の途中で様々な人と出会い、テロリストに間違われ誤認逮捕されたこともあった。しかし、尋問する刑事との間に思わぬ共感を覚え、他者に対しての寛容を深めてゆく。色々な体験をしたキトゥンは、ついに父であるリーアム神父と出会い、自分を捨てた彼を許す。そして故郷タイリーリンへ帰るのだった。