天賦典式「この世に生まれ入ったことこそ大いなる才能とする」が、麿の基本思想であり、その思想の実践が毎年長野県白馬村で行われる夏合宿である。経歴も国籍も様々な若者たちが世界中から集まってきて、大駱駝艦の艦員と共に、一週間の合宿を通して麿赤兒の舞踏を体験する。踊りや舞踏の経験者、未経験者、学生からサラリーマン、主婦まで、彼ら合宿参加者の目的も様々だ。舞踏とは何か? 肉体とは? 生とは? 死とは? 天賦典式と名付けられた舞踏手法と思想が、合宿生一人一人に刻印されていく。これは舞踏という未知の領域に第一歩を踏み出す合宿生たちの姿を描いた青春物語でもある。白馬連峰の麓、朝のランニングから始まり、大駱駝艦員の指導の下、基礎訓練が行われる。麿赤兒による舞踏理論の講義や、最終日の舞台に向けての過酷な練習の様子、そして男性の断髪式や衣装作りなどが描かれていく。やがて迎えた最終日。顔は白塗り、裸体に金粉という姿で夜の舞台に立つ合宿生たちの姿がそこにある。暗闇に金粉が舞う感動と興奮の舞台が展開されていく……。