グラント(ゴードン・ビンセント)とフィオーナ(ジュリー・クリスティ)の夫婦は結婚して44年。互いを思いやる幸せな生活を送っていた。フィオーナが18歳のときに大学教授だったグラントと結婚、20年前にグラントが退職してからはオンタリオ湖畔の豊かな自然の中で暮らしてきた。しかし、そんな二人の間に暗い影が忍び寄ってくる。フィオーナにアルツハイマー型痴呆症の症状が現れたのだ。グラントは彼女を辛抱強く支えていくが、ある夕方ひとりでクロスカントリー・スキーに出かけたフィオーナは、自分の居場所がわからなくなってしまう。グラントの必死の捜索で発見されたものの、症状を自覚したフィオーナは自ら老人介護施設への入所を決断。そして彼女は施設への道すがら、昔の苦い思い出を語り出す。それは、教授時代のグラントと女子学生の浮気だった。フィオーナの激しい口調にグラントは沈黙する。一ヵ月後、許可を得て面会に訪れたグラントが目にしたのは、自分の事を全く覚えていないフィオーナの姿。そして彼女は、車椅子に乗った男性オーブリー(マイケル・マーフィ)を、自分の初恋の相手とグラントに紹介、かいがいしく世話を焼いていた。自分の事を思い出してもらおうと日参するグラントだったが、彼の想いに反してフィオーナはオーブリーとの絆を深めてゆく。いたたまれなくなるグラントを、看護士のクリスティ(クリステン・トムソン)が励ます。彼女に相談するうち、グラントはフィオーナのオーブリーに対する愛情は、自分への罰ではないのかと語りだす。円満に見えた夫婦だったが、彼にはフィオーナに対して負い目を感じていたのだ。そんなある日、オーブリーの妻マリアン(オリンピア・デュカキス)が施設を訪れ、夫を自宅に連れ帰ってしまう。この事態にショックを受けたフィオーナは寝たきりの状態に。彼女の容態を心配したグラントは、マリアンを訪ねてある提案を持ちかける……。