寂れた港町の漁師・石黒万造(小手伸也)は、平屋の一軒家で一人暮らしをしている38歳の独身男。父親の遺した漁船“野郎丸”で毎日海に出て網を引いては、たまにうらびれたバーで酒を飲むのが唯一の楽しみである。万造は町役場主催のお見合いパーティへ出かけるが、寡黙な性格と時代錯誤なファッション・センスのため、まったく成果がなかった。そんな万造はある日、万造の家にいつの間にか上がりこんでいた美津子(宮本裕子)と出会う。コケティッシュで都会的な魅力を放つ美津子に一目ぼれした万造は、彼女のために持っているものすべてを投げうつが、それでもこれまでの人生でいちばんの幸せを感じる。しかし、幸福な日々は長くは続かなかった。