1896年のトルコでは、ギリシャ人やアルメニア人が政府の弾圧に苦しめられていた。ギリシャ人の青年スタブロス(スタチス・ヒアレリス)は、親友のアルメニア人バルタン(フランク・ウォルフ)からアメリカの話を聞き、そのきらびやかで自由な国アメリカに対して異常なまでの憧れを持つようになっていった。そんなとき、親友バルタンが、トルコの圧政に反抗したために殺された。スタブロスの自由への渇望は爆発し、彼はアメリカへ行く決心を固めた。その頃、素足を引きずりながらひたすらアメリカを目指して旅する、アルメニア人ホハネス(グレゴリー・ロザキス)と出会い、スタブロスは靴を与えてやった。スタブロスの父親イザーク(ハリー・デイヴィス)は息子のアメリカ行きを許し、一先ずスタブロスをコンスタンチノープルで敷物商を営むいとこのオデッセのもとに送った。スタブロスはコンスタンチノープルに着いた。が、オデッセはスタブロスが途中、悪賢いトルコ人アブダル(ルー・アントニオ)に貴重品をまきあげられて無一文なのを知ると、追い払う算段を始め、町の金持ちの娘トムナと結婚させようとする。が、独力でアメリカに渡ろうとするスタブロスはこれを断り、港の運搬夫となって働く。アメリカへ行くという目的が、彼をどんな重労働にも耐えさせた。そんな彼の口ぐせから、スタブロスは“アメリカアメリカ”と呼ばれるようになった。しかし、そんな苦労をしてためた金も微々たるもの。スタブロスはついにがまんできず、金持ち娘トムナと結婚した。彼はトムナに本心を打ち明け、持参金のかわりに渡航費をもらい、アメリカに向かって出発する。船中スタブロスは、靴みがきの一団に加わってアメリカに向かうホハネスに再会する。ホハネスは、正式な手続をしていないスタブロスがアメリカに上陸できないことを知り、肺病で先の短い我身を海に投げて、スタブロスを自分の身がわりとして上陸させるのだった。そしてアメリカの街の片隅で、懸命にブラッシを使うスタブロスの顔は、明るく輝いていた。