30年間忠実な銀行員であったアンリ・ヴェルドゥ(チャールズ・チャップリン)は不況のため馘首されたが、以後彼が足なえの妻(マディー・コレル)と息子のために選んだビジネスは、金持ちの中年女を誘惑してその夫となり、彼女を殺害して保険金を奪うことであった。彼はヴァルネイと称して中年の未亡人グロネイ(イゾベル・エルソム)を口説く傍ら、土木技師フロレエに扮して妻の1人リディア(マーガレット・ホフマン)を訪れ、一夜のうちにこれを殺して5万フランを強奪する有様である。しかし彼も本妻や息子に対しては善良な、道徳的な夫であり父だった。彼は友人のボテロ(ロバート・ルイス)から証拠の残らぬ毒薬の製法を聞き出し、街で拾った女(マリリン・ナッシュ)で実験しかかったが、不具の夫のため盗みをした過去を持っていることを聞くと、殺す気が起こらなくなってしまった。彼は更に船長ボヌースに化け、妻の1人アナベラ(マーサ・レイ)を毒殺しようと苦心したが失敗、最後の手段とグロネー夫人を口説いて成功しかかったものの、結婚式場にアナベラが現われたので万事画餅に帰した。警察当局は女たちの家族の密告でヴェルドゥに捜査の手を延ばし、探偵の1人は彼の毒薬のため最後をとげたが、遂に彼も寿命がつき、今や軍需王の囲い者として成功した、かつて街で拾った女と会食中、逮捕された。既に彼は30年代初期ヨーロッパを襲った恐慌のため、破産していたのである。彼は法廷で、自分のした行為は小さなビジネスに過ぎず、人類はそれより残虐な戦争戦争を賛美し、大ビジネスとして実行しているではないかと叫び、ギロチンへ引かれて行った。