宏大無比な御殿で王様も及ばぬ様な豪奢な生活をしているトムキンスの令嬢フロッシーももはや年頃である。そこでわがままいっぱいに育てられたお嬢さんはお父さんに“あたし何んでもいいから結婚がして見たいんですの”で最も簡易な方法でここに速成の婿君が御殿に送られることになる。その婿君の役廻りに当たった人は至って女子には好かれぬ御面相を持ったお人好しのハロルド君。彼はその特徴ある頭をふり立てふり立て御殿に参上したのである。婿君と云うもののどれでもが写真や新聞で見る様な男とばかり思っていたお嬢さんも合ってびっくり是はしたりと断ることも今更となっては仕方がない。御殿には盛大な披露の宴が開かれる。その夜ハロルド君と同伴していた好男子のパルマーストン卿が酒の加減で御殿に漂い来る。令嬢これを見てぞっこんとばかり“あたしこの方と結婚してよお父さん”。いいだしに使われたハロルド君“ああ俺も色男に生まれて来るのだっけ”……