大学院の哲学科に通う白石珠(門脇麦)は、19歳の時のある出来事により深い喪失と絶望に苛まれていたが、そんな日々からようやく恢復。現在は恋人の鈴木卓也(菅田将暉)と同棲生活を送っている。しかし、無意識のうちに穏やかな波風のたたない生活を望み、卓也との関係は平板などこか体温を伴わないものであった。ある日、珠は大学院の憧れの恩師・篠原弘(リリー・フランキー)から修士論文のテーマとして、フランスの女性アーティスト、ソフィ・カルによる『文学的・哲学的尾行』を実践してみてはどうかと勧められる。それは一人の対象を追いかけて、生活・行動を記録するというもので、尾行の対象者と絶対に関わらない事が条件であった。そんな折、彼女はふと、近所に住む既婚男性の石坂史郎(長谷川博己)を見かけ、突発的に彼の尾行を始めるが、ある日石坂の不倫現場を目撃してしまう。他人の秘密を知ることにぞくぞくとした興奮を覚えた珠は石坂の尾行を繰り返し、次第にその秘密は珠と卓也との関係にも大きな影響を及ぼしてゆく。さらに珠は、彼女が信頼を寄せる篠原の秘密をも知ることとなり……。