愛犬のゴールデンレトリーバーのナツを重い病気で亡くし、無気力となったテレビディレクターの久野かなみ(小林聡美)は、大先輩の映画監督・渋谷昶子に励まされ、犬の命をテーマにした映画を撮り始める。飼い主のいない犬と猫は、動物愛護センターで一定期間保護され、飼い主や引き取り手がみつからなければ殺処分される。センターで処分される犬猫や、東日本大震災後、福島の原発20キロ圏内に取り残された犬猫の姿を目の当たりにしたかなみは大きなショックを受けるが、取材するうち、過酷な状況から一頭でも多くの命を救おうとする人たちと出会う。千葉県を中心に、愛護センターに持ち込まれた犬や猫の里親探しをする団体“ちばわん”代表の扇田桂代さんは、崩壊したブリーダーの店から46党の犬を救い出したり、被災地の犬猫に無償で不妊去勢手術を行っている。毎週愛護センターに通う副代表の吉田美枝子さんは、2015年までに5000頭の犬と猫の命を救った。広島に本拠地を置き、シェルターに1000頭以上の犬と猫を保護している“犬猫みなしご救援隊”は、被災後、原発20キロ圏内から1400頭の犬猫を救い出した。「人間のエゴで動物を殺すのは間違い。助けられる命は全部救う」と語る代表の中谷百里さんらの取り組みを知ったかなみは、自分にできることは何かと問いかける。そんな折、離婚して10年になる元夫のカメラマン・前田勇祐(上川隆也)から連絡が来て、かなみは自分のふがいなさを告白する。前田は、自分たちの役目はそれを撮って伝えることだとかなみを励ます。かなみは保護された後の犬たちの取材を始め、震災を生き抜いた犬と飼い主の絆や、保護犬を積極的に受け入れる老人ホーム・さくらの里山科の老人と犬との愛情あふれる暮らしを撮影する。行き場のなかった犬たちが、新たに出会った人たちと支え合いながら生きている姿を見て、自分にできることをしようと気づいたかなみは、ある決心をする。