写真家になる夢を持ちながらも、将来への漠然とした不安を抱える河合夏美(有村架純)は、煮え切らない態度をとる恋人・相羽慎吾(工藤阿須加)との付き合いに少々イラ立ち気味。そんな夏のある日、亡き父の形見のバイクに跨り、一緒にホタルを見た森へ向かう。カメラを手にした夏美はテントを張り、木々の緑が眩しい森の風景を撮りながらホタルを待とうと考える。買い物に立ち寄った黄色い看板のよろず屋“たけ屋”は、ヤスエさん(吉行和子)と“地蔵さん”と呼ばれる息子の恵三(光石研)が営んでいた。夏美に、空いている部屋があるから泊まっていけと勧める2人。その親切に甘えて、店の手伝いをしながらしばらく厄介になることを決める。やがて、夏美を追ってやって来た慎吾も一緒に居候することに。地蔵さんの友人、雲月(小林薫)の不遜な態度は腹立たしかったものの、近所の子供たちと川えびやテンカラ釣りを楽しみながら過ぎてゆく穏やかな日々。ところがある日、地蔵さんが倒れて入院。そして夏美は、地蔵さんが別れた家族との間に埋められない溝を抱えて、長い間苦しんできたことを知る。地蔵さんのために出来ることがないかと考えた夏美が取った行動とは……?